Book In Life 迷子の本棚

読書で心を癒しましょう。テーマにあった本や映画の紹介と、その本や映画を通じて考えたことをアレコレ書いています。本に出てくるお料理の再現にも挑戦しています。

善良な私たちは、傲慢さを抱えながら生きていく

「婚活」という言葉をよく耳にするようになりました。昔ながらのお見合いのほか、婚活パーティー、街コン、婚活アプリなど活動の仕方は、さまざまあるようで。

ただ「婚活」は、幸せを夢見る結婚に向かっているはずなのに、頑張れば頑張るほど息苦しくなってきます。どうしてなのでしょうか。

辻村深月さんの『傲慢と善良』

西澤架は、婚活アプリで知り合った坂庭真美と結婚に向けて準備を進めていましたが、ある日突然、真美が失踪します。そういえば、地元の知り合いからストーカー被害にあっていると言っていた。真美の失踪に関わるストーカーの正体を突き止めるために、架は真美の過去を探り、思いがけない真実に気づきます。 

婚活の実態を描き出すミステリです。

傲慢と善良

傲慢と善良

 

 

世の中の「普通」は、時代と共に変わっていきます。

結婚についていえば、セクハラへの意識が高まるにつれて、周囲の人がお膳立てしてくるお見合いが減りました。今では、結婚したいという人は、自分から行動を起こして、相手を見つけなければなりません。

善良な私たち

真美が登録していた結婚相談所を訪れた架が、こんなことを言われています。

現代の結婚がうまくいかない理由は、『傲慢さと善良さ』にあるような気がするんです

子どもの頃に清純を求めて異性の話はタブーにしておいて、大人になった途端に恋人はいないのか、結婚した途端に孫はまだかと期待するのには、大いに矛盾があります。

大人の言うことをよく聞く素直な子ほど、突然手のひらを返されたように戸惑うし、素手でジャングルに入っていかされるような不安を感じることになります。

傲慢な私たち

真美の姉・希実は、妹の婚活を思い起こしながら、こんなことを言っています。

こんな過去や好みを持った自分を理解してくれる相手、みたいなものを求めすぎて、逆に相手もそういう物語を持ってるかもしれないってことの方は疎かになる

私たちは皆、誰もが自分の物語の主人公だから、ささやかなことを自慢におもったり、ちょっぴり都合のいい解釈をして自分を慰めたりしています。

「ワンランク上の~」なんてキャッチフレーズをよく耳にしますよね。

そのこと自体は責められることではないけれど、こと婚活となると、私たちは無自覚にも、傲慢に自分の要望ばかりを突き付けあって、まとまらない事態に陥ります。

皆が行くから大学に行き、親が決めたから就職し、そういうものだからと婚活する。そこに自分の意思や希望はないのに、好みやプライドと―――小さな世界の自己愛があるから、自由になれない。いつまでも苦しい。

婚活がうまくいかない人を笑うことなんて、できません。 

 

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ここまで読んでくださって、ありがとうございました。