Book In Life 迷子の本棚

読書で心を癒しましょう。テーマにあった本や映画の紹介と、その本や映画を通じて考えたことをアレコレ書いています。本に出てくるお料理の再現にも挑戦しています。

シンデレラは、王子様の秘密を知ってしまった

コロナ禍で困窮し自死を選ぶ女性が増えていると聞いて、悲しくなりました。

この国の男女格差は歴然としているし、失敗に不寛容な社会です。理由が何であれ、一度落ちたら、上がっていくのがむずかしい。

いまだに、幸せをつかむの手段として、玉の輿やシンデレラストーリーを夢見なければならないとは、やるせない気持ちになります。

きょうは、シンデレラの前に現れた王子様の秘密をテーマにご紹介します。

瀧羽麻子さんの『オキシペタルムの庭』

幸せになりたいが口ぐせの32歳、派遣社員の莢子。結婚まで秒読みと思っていた相手とのつらい失恋の後で、塾講師の篤志に出会い、今度こそはと期待している中で、篤志が隠し事をしていることに気づきます。 

オキシペタルムの庭

オキシペタルムの庭

  • 作者:瀧羽 麻子
  • 発売日: 2012/10/05
  • メディア: 単行本
 

育ちの違いを超えられるか

誰かと暮らし始めて気づく生活習慣の違いって、ありますよね。

玉子焼きは甘いか辛いか。お風呂に入るのは夕食の前か後か。洋服の畳方なんかも、家庭によって違うことも。

篤志にとって当たり前なことが、莢子には違和感と不安を呼び起こします。

仲良くやっていくには歩み寄りが大切で、好きな人のことは理解したいけれど、受け入れられないこともあります。たぶんそれは、育った環境の中で染みついて生き方に深くかかわるもので、愛の強さ、深さとは関係ありません。  

坂井希久子さんの『愛と追憶の泥濘』

非常勤の学校司書をしている27歳の莉歩は、彼からEDだと告げられます。この人との結婚を逃したくないという一心で構わないと伝え、治療を受けて「できる」ようになってもらおうと目論見ますが、やがて、さらに深い秘密が隠されていたことを知ります。

愛と追憶の泥濘

愛と追憶の泥濘

 

いちばん求めているものは何か

好きな人と別れたくない、条件の良い結婚相手を見つけて親を喜ばせたい、不当に扱われた過去を帳消しにして見返してやりたい、不安定な生活から抜け出したい。 

莉歩の心の中には、さまざまな気持ちが渦巻いています。ひとつひとつは、年頃の女性なら誰もが抱くものですが、すべてをかなえられるとは限りません。

彼からのEDの告白に対して、彼をつなぎとめようと必死に言葉を紡いだ莉歩ですが、さらなる秘密を知っていくに連れて、少しずつ態度が変わり、奇妙な方向に進んでいきます。莉歩が手に入れるのは、いちばん求めているものなのでしょうか。

幸せにならなきゃいけないっていう呪い

『オキシペタルムの庭』の莢子の友人の望は、わたしたちには幸せにならなきゃいけないっていう呪いがかかっていると言います。

幸せを意識するあまり、どうしたら幸せに見えるかが気になってしまう。

たしかに誰かから不幸な人だと指さされたくはないけれど、幸せそうなものを追いかけていると、本当に自分が欲しているものを見誤うかもしれません。

幸せって、なんでしょうね?

 

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bookinlife.hatenablog.com

ここまで読んでくださって、ありがとうございました。