Book In Life 迷子の本棚

読書で心を癒しましょう。テーマにあった本や映画の紹介と、その本や映画を通じて考えたことをアレコレ書いています。本に出てくるお料理の再現にも挑戦しています。

障がいを隠したくなる理由は、どこにあるのか

日本の社会は、分断されていると感じます。

裕福な家の子どもと貧しい家のこどもが知り合ったり、障害のある子どもと健常者の子どもが一緒に遊ぶことは稀です。

自分とは異なる条件を抱える人のことを知る機会がなかったら、他人の気持ちなんて分かりようもないし、生きづらさが増していくばかりです。 

きょうは、聴覚障害を抱えている女の子たちが登場する話を紹介します。

 

五十嵐貴久さんの『サウンドオブサイレンス』

聴覚障害を抱える3人の女の子と、彼女たちのマネージャーになった普通の女の子、夏子が、ダンスコンテストに挑む青春ストーリーです。 

サウンド・オブ・サイレンス

サウンド・オブ・サイレンス

 

知らないから、誤解が生まれる

ごく普通の高校生の夏子が、クラスでひとり浮いている春香の耳が聴こえないという秘密を知ったところでストーリーが幕を開けます。 

春香は同情を受けたくないと、聴覚障害をひた隠しにしています。読話術を身につけ、障害者の友人と縁を切りますが、秘密がバレるのを恐れて健常者と親しくすることも避けています。

夏子は、最初は聴覚障害のある子と一緒にいて、自分もそうだと思われたら嫌だと思っていますが、おしゃべりが弾むうちに気にならなくなります。そもそも、子どものときに障害者=可哀相な人と教えられて、距離を置いているだけなのです。

聴覚障害の子が集まってダンスチームを組みたいと聞くと、「えっ、耳が聴こえないのに?」と驚きますよね。夏子も驚いたし、春香も「音も聞こえないのに無理」と最初は断ります。

でも、音楽を聴いているのは耳からだけではありません。

昔、テレビで、春香たちが挑んだような聴覚障害者のダンスコンテストを見たことがありますが、これっぽっちも障害を感じさせない素晴らしいパフォーマンスでした。

障害者と侮るなかれ。ハンディキャップ があるからって、可哀相と決めつけるのは違います。誰にだって、出来ることと出来ないこと、得意なことと苦手なことがあります。うまく補い合っていかれればいいのにね。

  

有川浩さんの『レインツリーの国

読書ブログがきっかけで始まる ボーイミーツガール、甘いラブストーリーです。 

レインツリーの国 (新潮文庫)

レインツリーの国 (新潮文庫)

  • 作者:浩, 有川
  • 発売日: 2009/06/27
  • メディア: 文庫
 

分かり合いたい、そこが始まり

こちらの主人公は、健常者の伸行と難聴のひとみ。

ひとみもまた、障害を隠すことを選びます。伸行からデートに誘われても、会うのを避けようとし、いざ会うとなっても、長い髪で補聴器を見えないようにして現れます。

そして、懸命の努力の甲斐もむなしく、難聴がバレたとき、「健常者には分からない」と叫びます。 

彼女たちは、なぜ障害を隠そうとするのか。なぜ、分かり合えないなんて悲しいことを言うのでしょうか。

たぶんそれは、今の日本社会では、障害者が何か足らないところのある可哀相な存在とされているから。障害者を「普通」の人から切り離して、世界が分断されているから。

実際のところ、彼女たちはハンデを背負ってはいるけれど、1から10まで誰かの厄介になっているわけではありません。助けが必要ということで言えば、五体満足な「普通」の人だって不得意分野があって、誰かの支えなしにはいられません。

もっと共に過ごせる機会が増えたらいいのだけれど、既にできあがってある社会の仕組みの中ではむずかしいのなら、せめて、つながった機会は大事にしたい。

だって、分かり合いたいのだもの。 

 

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ここまで読んでくださって、ありがとうございました。