Book In Life 迷子の本棚

読書で心を癒しましょう。テーマにあった本や映画の紹介と、その本や映画を通じて考えたことをアレコレ書いています。本に出てくるお料理の再現にも挑戦しています。

命に値段をつけるなら―――。

もし、人の命に値段をつけるなら、あなたはいくらにしますか。

大事な人が誘拐されたときの身代金や、不治の病に侵されたときの治療費を要求されたなら、全財産を差し出してもいいと思うかもしれません。

では、会ったこともなければ名前を聞いたこともない、見ず知らずの人のためだったら、どうでしょうか。

戦時中は、赤紙と呼ばれた召集令状を出せば、簡単に兵士の補充ができたから、人の命はその郵便代、一銭五厘と言われたそうです。ひどい話です。 

 

石持浅海さんの『殺し屋、続けています。』

経営コンサルタントの富澤允は、副業で殺し屋をやっています。仲介人を通して届く殺しの依頼は、ビジネスと割り切って深入りしないことにしていますが、標的をさぐるうちに、依頼人や殺害理由が見えてくることも。殺し屋のケースファイル短編集です。 

殺し屋、続けてます。

 650万円あれば、人の生死を左右できる⁈

『殺し屋、続けています。』には、二人の殺し屋が登場します。ひとりは主人公の富澤で、650万円で殺人を請け負っています。

650万円は日本を代表する東証一部上場企業の社員の平均年収で、本当に標的を亡き者にしたいのか、依頼人の決断を迫る金額設定だといいます。

はて、命の値段650万円は高いのか、それとも安いのか。

以前に読んだ小説の中に、親が遺した借金で身動きが取れなくなって自己破産した人に、一生に一度認められている救済措置なのだから気に病むなと声をかける場面があったのを思い出しました。
実際のところ、法律の規定は7年以内に自己破産していないという適用条件で、自己破産の回数制限ではないので、自己破産は一生一度あるかないかという意味合いになると考えられます。

人ひとりの殺害価格650万円は、ちょうど、この自己破産と同じくらい。一生に一度あるかないか。いやいや、ほとんどの人にはないんだけれど、数回やっちゃう人もいそうな値段です。

550万円あれば、人生を変えられる?! 

ふたり目の殺し屋は富澤のライバル 鴻池で、殺害価格は550万円。

一人娘の六年間の学費相当額だといいます。つまり、550万円は命の値段というよりも、殺人を犯す良心の呵責や逮捕されるリスクを引き受ける価格といえます。 

そういえば、お金のために一般市民が殺し屋になっていく映画がありました。

映画『藁の楯』(三池崇史監督、大沢たかおさん、松嶋菜々子さん、藤原竜也さん主演)

幼い孫娘を殺された政財界の大物が、犯人の清丸を殺したら10億円払うと新聞広告を出します。警察庁のSPチームは、福岡県警に自首した清丸を東京の警視庁に移送するように命じられますが、賞金に目がくらみ清丸の命を狙う人が次から次へと現れます。

藁の楯

藁の楯

  • 発売日: 2013/11/26
  • メディア: Prime Video
 

人生はお金で決まるわけではないけれど、多寡によって選択肢の数が変わることは間違いありません。もっとお金があれば、良い学校に行かれたのに、良い家に住めたのに等々。

殺人は許されないと分かっているけれど、人生の選択を変える金額が手に入るならば...と人は踏み出してしまうのです。

実は、人の命を手にかけること自体が人生を変える決定的な選択なのですが。 

 

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ここまで読んでくださって、ありがとうございました。