Book In Life 迷子の本棚

読書で心を癒しましょう。テーマにあった本や映画の紹介と、その本や映画を通じて考えたことをアレコレ書いています。本に出てくるお料理の再現にも挑戦しています。

もう一歩先への探求心、それが情熱

いま、あなたが夢中になっていることは何ですか。

夢中になれるものがない、やりたいことが分からないという人、たくさんいらっしゃると思います。かくいう私も、そのひとり。

なにかに夢中になる情熱って、どこからくるのでしょうか。

 

恩田陸さんの『チョコレートコスモス

若手実力派女優の響子。芸能一家に生まれ、幼い頃から天才ともてはやされてきましたが、役者としてやっていくことに迷いがあります。
そんな折、伝説の映画プロデューサー、芹澤泰次郎が舞台を手掛けることを知ります。芹澤の芝居に出られたら、心が決まるかもしれない。響子は、呼ばれていないオーディションに乗り込みます。

一方、無名女優の飛鳥がオーディションに招かれています。飛鳥は、芝居を始めたばかりの学生ですが、天性の演技力で見る人を驚かせます。

はたしてオーディションの行方はいかに?
芝居にかける情熱がほとばしるオーディション物語です。

チョコレートコスモス (角川文庫)

情熱の発端は好奇心

飛鳥は、彗星のように現れた大型新人。芝居に情熱を寄せる人たちが集まるオーディションの大穴とされています。けれど、意外なことに、お芝居をやりたいと考えたことはないと言います。

あそこに何かがあると思うんです

見たことないけど、何か凄いものがあそこにあって、
それを見るためには、あそこの上に立つしかない。

情熱は、きっと「好き」「楽しい」「やりたい」といった言葉にまとまる前のカタチのない、何だろう、何だろうという好奇心、好きなのか、楽しいのか、やりたいのかさえも分からないけれど、気になってしかたがない、そんな好奇心から始まっています。

情熱の探求心に終わりはない

オーディションに立ち会った劇作家は、素晴らしい演技を目の当たりして大興奮。しかし、期待を超える演技を見た後でも、さらに上を求めます。

何かがあるはずだ。ここまで来られたからには、まだ先がある

そこまで行かなければ、ここまで来た意味がない場所が。 

情熱は、簡単に満足したりはしない。この先、その先と、さらなる先を追い求める探求心があります。

情熱は後戻りを許さない 

響子は、恵まれた境遇で才能を開花させていながらも、役者として生きていく覚悟ができていません。いったい何を迷っているのでしょうか。 

まだそっち側に行ってはいけない。
そっち側に行ったら、二度と引き返せない。

 心のどこかでそういう声があった。

(中略)彼女は恐れてもいたのだった。

この面白さには果てがない
ということに薄々きづいていたからである。

情熱が芽生えるきっかけは、素朴な疑問と純粋な好奇心。
ちょっと気になるから覗いてみよう。そして、まだ先がある、もうちょっと覗いてみよう。もうちょっと、もうちょっと、という具合に絡めとられていきます。
まるで心を乗っ取られるかのようです。

情熱は後戻りさせてくれないから恐ろしい。けれど、そこまで夢中になれるものに出会えるのがうらやましい。

 

【こちらの記事もどうぞ!】

bookinlife.hatenablog.com

bookinlife.hatenablog.com

ここまで読んでくださって、ありがとうございました。