Book In Life 迷子の本棚

読書で心を癒しましょう。テーマにあった本や映画の紹介と、その本や映画を通じて考えたことをアレコレ書いています。本に出てくるお料理の再現にも挑戦しています。

優雅でなければ、タバコを吸う意味はない

あなたは、タバコを吸いますか。
あなたの周りには、タバコを吸う人はいますか。 

肺炎にかかるリスクが高まっている 今、喫煙について考えてみませんか。

 

垣谷美雨さんの『優しい悪魔』

佐和子は、ニコチン依存症で悩んでいます。本気でタバコを止めたいと思っていますが、禁煙を意識すればするほど、吸わずにはいられなくなります。

ヘビー・スモーカーで禁煙チャレンジ失敗歴20年の佐和子が、禁煙を目指して奮闘する日々を描きます。 

優しい悪魔

優しい悪魔

  • 作者:垣谷 美雨
  • 発売日: 2008/06/20
  • メディア: 単行本
 

※『優しい悪魔』は『禁煙小説』に改題されています。

 

タバコは、カッコいい大人の象徴でした(過去形!)

今度こそは禁煙を成功させる!と決めた佐和子は、周囲の人たちのタバコをめぐる言動に敏感になります。

会社の飲み会で、喫煙率の高い熟年層の男が言い合います。

「僕と同年代で、十代の頃にタバコを吸ってみようかなと一度も思わなかったやつなんて、人間として面白みのないやつに決まってるさ。」

そう、かつてタバコは、カッコイイ大人の象徴で、大人になりかけの十代が背伸びをして手を出すもの。大人社会では、喫煙所は、部署や世代も異なる人たちが情報交換する貴重な社交場でした。

しかし、それは過ぎ去った栄光の日々で、今はその面影はありません。

駐車場の片隅でせわしなくタバコを吸う男たちの丸まった背中や、手持ちのタバコがないと分かった途端にパニックに陥る姿は、ちっともカッコよくありません。

佐和子は、タバコを吸わない人たちが想像以上に煙を嫌がって、吸う人を避けられていることにも気づきます。

カッコイイ大人に憧れて、タバコの世界に足を踏み入れたのに、タバコのためにカッコ悪い姿をさらしているようでは本末転倒。

今では、タバコはカッコ悪い人の象徴になってしまったのです。

 

川端裕人さんの『ニコチアナ』

日本と米国の会社が共同で、無煙シガレット「ハチェット」の販売を計画します。副流煙の心配をなくし、タバコの新たな歴史を開くはずが、記者会見がニコチンテロに襲われ、ハチェットの製法に似た技術が特許申請済みとの情報が入ります。

商品企画担当のメイは、特許申請者のロクサノ・テンマを追いかけて、タバコの神の伝説に触れます。 

ニコチアナ (角川文庫)

ニコチアナ (角川文庫)

  • 作者:川端 裕人
  • 発売日: 2008/08/25
  • メディア: 文庫
 

タバコは、時間を微分します(現在形!)

タバコ会社のCEOで愛煙家のデュークは、「シガレットには時間を微分する力がある」と言います。

シガレットは、誰もが身を粉にして働かなければならない現代社会の中で、隙間のようにできた無為の時間を画するための贈り物だった。

仕事の合間にシガレットに火をともす。それによって、人間は時間に句読点を打ち込み、生きる活力を得るのだ。

朝一番の一服、仕事の合間、セックスの後、そして大きなチャレンジに足を踏み出す時...日々の暮らしの中で、時間の流れにリズムを作り出す。凸凹のない日常に、目鼻をつける

タバコは火をつけるだけで始まり、火を消すだけで終わります。1本吸うのにかかる時間は90秒。この手軽さが、タバコの大きな魅力です。

 

タバコには、様式美が求めれらている(現在進行形!)

タバコは手軽であるがゆえに、タバコを吸う回数、本数を増やすのも簡単です。渇望に従った喫煙は、タバコに振り回されている状態に陥ります。

人は日常の中でシガレットを消費するための「様式」を確立せねばならない。でなければ、就寝時間以外、つねに体をニコチンに浸し込まれ、逆に時間は均質なものへと変化する。

(中略)

 時間の奴隷であることから、解放してくれるはずのものが、ふたたび人間を隷属させる

チャイムに例えるなら、決まったタイミングで鳴るなら便利だけれど、のべつまくなしに鳴っていたら、うるさいだけ。

タバコは、優雅に吸わなければなりません。

人目を気にしてコソコソしたり、ニコチン補給だけを目的にセカセカしたり、いつまでもダラダラ吸っているのは美しくありません。

往年の映画スターをイメージして、ゆったりと、つかの間の休息を味わいましょう。カッコよくなければ、体に悪いと分かっていることを続ける意味がないですから。

 

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ここまで読んでくださって、ありがとうございました。