Book In Life 迷子の本棚

読書で心を癒しましょう。テーマにあった本や映画の紹介と、その本や映画を通じて考えたことをアレコレ書いています。本に出てくるお料理の再現にも挑戦しています。

デマやフェイクは、どうして生まれるのか。

緊急事態宣言が延長されてしまいました。「これ以上は耐えられない」とばかりに、営業を再開してているお店もあるけれど、元通りにはなりません。

みんなが心に不安を住まわせているときは、デマやフェイクが横行しやすくなります。

きょうは、デマやフェイクがどうして生まれるかを考えます。

 

原宏一さんの『うたかた姫』

芝居の公演資金を代表に持ち逃げされて、金欠の劇団員たちは、素人娘をフェイクパフォーマンスを仕掛けて天才歌姫として売り出すことにします。それは、公演予定だった芝居の筋書きで、上手くいきっこないはずが、まさかのブレイク。現実が脚本に似た展開を見せ始めます。芝居の結末には死が待ち受けています。それまでも、現実化されてしまうのでしょうか。 

うたかた姫

うたかた姫

  • 作者:原宏一
  • 発売日: 2019/11/12
  • メディア: 単行本
 

デマやフェイクは、お金を稼ぐ手段になる

 『うたかた姫』の語り手である劇伴担当の亮太は、フェイクプロジェクトに懐疑的ですが、アルバイトを首になり、唯一期待できる収入源として、プロジェクトに深くはまっていきます。

また、歌姫がブレイクすると、プロジェクトに反対していたな人や途中で投げ出した人、はたまた劇団の資金を持ち逃げした代表までが、分け前にあずかろうと、ちゃっかり戻ってきます。

ありきたりな結論ではありますが、人はお金がないと、不本意でもフェイクに手を貸し、お金が手に入るなら、嬉々としてフェイクに関わっていくようです。

 

映画『ニュースの天才(Shattered Glass)』(ビリー・レイ監督、ヘイデン・クリステンセン主演)

政治雑誌の若き記者スティーブンは、スクープ記事を連発する人気者。新任の編集長チャックは、彼の記事に疑問を持って調査すると、スティーブンが書いた記事の大半がねつ造されたものと分かります。

アメリカで実際に起きた事件に基づくストーリー。 

ニュースの天才(字幕版)

ニュースの天才(字幕版)

  • 発売日: 2017/10/10
  • メディア: Prime Video
 

デマやフェイクは、注目を集める手段になる

記者たちが集まる打合せで、スティーブンがこんなネタがあると語り始めると、みんながうっとりと聞きほれるシーンが印象的です。

こんな表情で話を聞いてもらえたら、さぞかし気持ちよくて、語り手冥利に尽きるというもの。ここに、少しずつ大げさに、次第に想像を交えて、話を膨らましたくなる毒が潜んでいます。

デマやフェイクニュースが流れた後、それを追随する投稿がされることがあります。「動物園からライオンが逃げ出したって」「唸り声をあげながら、交差点を走っていったらしいよ」という具合にです。

読んだ人は、複数の人が話しているのだから事実なのだろうと思ってしまうわけですが、この根拠なき追随も、話題にのりたいという同種の毒に侵された症状です。

大切な人の前で胸をはっていられるか

この「他の人から認められたい」「注目されたい」という願望自体は、悪いものではありません。歌ったり踊ったりして褒められたことをきっかけに歌手やダンサーになったり、人を笑わせた快感が忘れられずにエンターテインメントの世界に進んだ話はよく聞きます。

問題は、その手段としてデマやフェイクを良しとするのかということ。

先日、新型ウィルス最前線で闘っている方がインタビューで「子供に、父親はよく頑張ったと言ってもらえるところまでは、やり遂げたい」と話されていました。

私たちひとりひとりを、デマやフェイクを流したくなる瞬間が訪れます。お金を得るためだとか、面白いから、今日だけだとか、ごまかしたくなるかもしれません。

そんなときは、大切な人の前で、胸をはっていられるかを想像して踏みとどまろう、と思います。 

 

【関連記事】 

bookinlife.hatenablog.com

bookinlife.hatenablog.com

ここまで読んでくださって、ありがとうございました。