Book In Life 迷子の本棚

読書で心を癒しましょう。テーマにあった本や映画の紹介と、その本や映画を通じて考えたことをアレコレ書いています。本に出てくるお料理の再現にも挑戦しています。

人生の歯車を回すのに必要なものとは...

人生は、いろいろなものに例えられます。
あるときは山登りに、またあるときは川下りに。

あなたは、たとえ話はお好きですか。
私は嫌いじゃないです、大好きでもないけれど。
たとえ話を聞くと、本当にそうかな、例外はないかしらん、と一歩引いて眺めることになるから、新しい発見があって面白いです。

 

近藤史恵さんの『三つの名を持つ犬』

モデルの都は、愛犬エルとの生活を綴ったブログをきっかけに、ペット関係ライターの仕事をしています。ある日、エルを不慮の事故で亡くしてしまいます。エルがいなければ、仕事もなくなってしまう。都はエルに似た犬を見つけて、代役をさせよう考えますが。。。

三つの名を持つ犬 (徳間文庫)

人生に不可欠なパーツはなにか

この本のキーワードは、「人生の歯車」です。

都は、持ち前の美貌とスタイルの良さで成功したいとモデルになりましたが、上手くいきません。可愛い愛犬エルが加わって、ようやく都の人生は回り始め、エルの死で回転が止まります。愛犬エルは、都の人生の歯車を回すのに不可欠なパーツだったのです。

だから都は、亡き愛犬エルの代わりを必死に探します。
ここで、都の秘密に気づく江口青年が登場します。

江口は、借金を背負っているために、詐欺に手を貸し、徐々に悪事の世界に取り込まれていきますが、借金を返すのを境にカタギの世界に戻ってきます。江口の人生の歯車を動かすパーツはお金だったとまとめると、身も蓋もないことになるので、もう少し考えます。

江口は「歯車が狂いはじめたきっかけは、大学四年のときに両親を交通事故で亡くしたことだった」と振り返ります。そして、カタギに戻って「希望がある」と言います。

家族愛と希望。人生に不可欠なパーツとして、申し分ありません。

愛は希望につなぐ道を見つける

都に話を戻しましょう。都の人生は、亡き愛犬エルにそっくりな犬ササミを見つけてて、再び回転を始めますが、おかしな方向に転がっていきます。結局、エルとササミは違う犬で、違うパーツで代替にはならないというわけです。

やがて、愛犬エルの代役ササミと暮らす都に、心境の変化が訪れます。

不思議ね。あのときはどうやったら仕事を続けられるか、エルの死を隠し続けられるかということばかり考えていたけど、今はもうどうでもいい。(中略)ブログも仕事ももうどうだっていい。でも、この子と離れ離れになるのだけは嫌

ササミを、他の犬の代わりに仕立て上げるのではなく、ただササミとして受け止めたなら、そこに新たな愛が生まれます。そして、愛は希望につなぐ道を見つけます。 

 

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ここまで読んでくださって、ありがとうございました。