Book In Life 迷子の本棚

読書で心を癒しましょう。テーマにあった本や映画の紹介と、その本や映画を通じて考えたことをアレコレ書いています。本に出てくるお料理の再現にも挑戦しています。

非日常の中でこそ、真価が問われます

オーストラリアのスーパーで、トイレットペーパーを取り合う女性たちの映像を見ました。アメリカでは、アジア人は消毒液を吹きつけられるのだとか。
人々の心がすさんできているというコメントがついていました。

何の心配事もない平常時に、人に優しく親切に接するのはむずかしいことではありません。

不安を抱えているときに、他の人を思いやって、いたわることができるか。
自分や家族がまさに攻撃されているときにも、「いまは特別」とか「例外」などど言い出さずに、通常と同じ姿勢を貫くことができるか、その人の真価が表れるときです。

 

原田マハさんの『暗幕のゲルニカ

9.11テロ事件の2年後、国連安保理ロビーで行われたイラク空爆攻撃を宣言する記者発表の背景は暗幕でした。 そこには、反戦のシンボルとされるピカソの「ゲルニカ」のタペストリーがあったはず。ゲルニカの悲劇が再現されるのか。

ゲルニカ」の展示で反戦を訴えようとするキュレーターの八神瑤子と、「ゲルニカ」を守ろうとしたピカソの恋人ドラ。時を超えて「ゲルニカ」のために奮闘する女性を描きます。

ピカソにとって、私たちにとって「ゲルニカ」とは何なのでしょうか。

 

暗幕のゲルニカ (新潮文庫)

 

ゲルニカ」と戦争は切り離せない

9.11テロ事件は全ての人に衝撃を与えました。

国連は、平和を実現するために組織であるにもかかわらず、イラク空爆をやむを得ないと言い出します。そして、その後ろめたさを「ゲルニカタペストリーに暗幕をかけ、視界から隠すことで誤魔化します。

一方、キュレーターの瑤子は、9.11テロ事件で夫を亡くしますが、今こそ、戦争と平和について考えるときだと、「ピカソと戦争」と銘打った展覧会を開催しようと奔走します。

私たちは、気づかなければならない。9.11の報復を名目にして武力に訴えるのがいかに愚かなことか。武力を武力で封じ込めようとしても、苦しむのは、結局、名もない人々なのだということを。

ゲルニカ」は世界を変える力を秘めている 

bookinlife.hatenablog.com

この記事でアートは、想いや記憶を運ぶのだと書きました。

心がすさんでしまったとき、冷静な言葉は耳に入らないかもしれません。 そんなときにアートは力を発揮します。

アートは、一瞬にして、私たちにそこに込められた想いを伝えます。一瞬にして、私たちを思い出の、あの日に連れて行きます。

これ(「ゲルニカ」)は剣ではない。いかなる兵器でもない。
言ってみれば、暗い色の絵の具が塗られたカンヴァス。単なる一枚の絵に過ぎない。しかし、剣よりも、いかなる兵器よりも、強く、鋭く、深く、人間の胸をえぐる。世界を変える力を秘めた、一枚の絵。

ペンは剣よりも強し。アートは、さらにペンよりも強し!! 

ゲルニカ」は、私たちが戦争やテロリズムや暴力と闘うための武器です。

 

ここまで読んでくださって、ありがとうございました。