Book In Life 迷子の本棚

読書で心を癒しましょう。テーマにあった本や映画の紹介と、その本や映画を通じて考えたことをアレコレ書いています。本に出てくるお料理の再現にも挑戦しています。

想いを伝える言葉は、どこにあるのか

あなたは、人前で話したり、大勢の人宛てに文章を書くのが得意ですか。

こうやって書いているブログも、大勢の人宛ての文章に入るから「得意だよ」っと言う方は多いかもしれませんが~、私自身の実感としては想いを文章にするのは、むずかしい。考えれば考えるほど、分からなくなります。

きょうは、言葉を紡ぐ話を紹介します。

 

朱野帰子さんの『会社を綴る人』

紙屋君(仮名)は、32歳にして初めて、製粉会社の正社員になりますが、何をやってもドジばかり。会社の愚痴をブログに書いている先輩の榮倉さん(仮名)からは給料泥棒と呼ばれてしまいます。そんな紙屋君の唯一の取り柄は文章を書くこと。紙屋君がインフルエンザの予防接種の案内メール文を必死に考えるところから、社史を綴ることになるまでの数ヶ月を描きます。 

会社を綴る人

会社を綴る人

  • 作者:朱野 帰子
  • 発売日: 2018/11/21
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
  

伝えたいことがあって書き始めた

紙屋君は、不得意なことが多い故に、唯一の取り柄である文章を書くことに真摯に向き合っています。

インフルエンザの予防接種の案内メール作成を指示した上司は、案内をした事実があればいいと言いますが、紙屋君は数時間かけて、予防接種を受ける気にさせる文章を作りあげます。ブロガーの榮倉さんは閲覧数が伸びなければ書く意味がないと言いますが、紙屋君は、ウケを狙うのではなく、ちゃんと分かってもらいたいのだと言います。

文章を書くのは大変な作業だ。たとえ区の感想文コンクールで佳作止まりの才能だったとしても、私はいつも必死に書いてきた。いや、たとえ天才的な才能がある人だって書くときは指先にすべての体重が乗っていいるはずだ。レベルは違えど、書いた人がどれだけ汗をかいたのか、読む人にはわかってしまうのもだからだ。

私たちは、何のために言葉を紡ぐのでしょうか。「私はちゃんと仕事しました」という記録を残すのも大事だし、ブログは閲覧数が増えれば嬉しいけれど、その前にまずは伝えたいことがあったはず。そのために書き始めたのです。初心を忘れるべからず。

 

恩田陸さんの『本日は、お日柄もよく』

言葉のプロフェッショナル、スピーチライターの久遠久美は、鮮やかな話術で人々の心をつかみます。OLのこと葉が、久美のスピーチに魅了されて弟子入りするところから、スピーチライターとして自立するまでを描くストーリー。 スピーチの極意十箇条つき。

本日は、お日柄もよく (徳間文庫)

本日は、お日柄もよく (徳間文庫)

  • 作者:原田マハ
  • 発売日: 2013/06/07
  • メディア: 文庫
 

心に届かなければ、伝えたことにはならない

そもそも論への気づきは、ここでも見ることができます。

親友の結婚披露宴の祝辞スピーチを前に、こと葉が緊張していると、友人たちは原稿を棒読みすればいい、苦手なのを知ってて頼んだんだからとトチってもいいと言います。

しかし、伝説の天才スピーチライター久美さんに言わせるとこうなります。

スピーチっていうものは、ひとりでも多くの聴衆の耳に入って初めてスピーチになるのよ。もっと言うなら、ひとりでも多くの心をとらえてこそ、スピーチは完結する

何のために スピーチをするのかを考えたら、どうするのが良いかが見えてきます。

 

【関連記事】

こちらで紹介している『総理大臣の夫』にも、スピーチライターの久遠久美さんが登場します。

bookinlife.hatenablog.com

ここまで読んでくださって、ありがとうございました。