Book In Life 迷子の本棚

読書で心を癒しましょう。テーマにあった本や映画の紹介と、その本や映画を通じて考えたことをアレコレ書いています。本に出てくるお料理の再現にも挑戦しています。

アートは、剣よりも強し

『ペンは、剣よりも強し (The pen is mightier than the sword.)』

あなたも聞いたことがある名言かと思います。言論が人に与える影響力は、武力より大きいという意味で使われますね。

今日は、言葉と同じように、人に影響を与える力を持つアートの話を紹介します。

  

原田マハさんの『美しき愚かものたちのタブロー』

実業家の松方幸次郎は、日本の若者たちに本物の美術に触れられる機会をつくりたいと、私財を投じて西洋絵画を集めますが、夢半ば、時代は世界大戦に突き進みます。

松方の部下で元海軍飛行士の日置釘三郎は、戦時中を命がけでコレクションを守り抜き、美術史家の田代雄一は、必死になって戦後フランスに接収されたコレクションを取り戻します。

アートに情熱をかけた男たちを描く国立西洋美術館の設立秘話。 

美しき愚かものたちのタブロー

美しき愚かものたちのタブロー

 

アートが心を豊かにします

松方幸次郎は、こんな言葉で美術館の設立を口説かれます。 

日本が世界と互角に勝負していく上で
なんといっても足りないのは文化力である。
それを改善し向上させるために
日本が必要としているのは『美術館』ではないか

美術館に行く習慣のない人からすると、何を言っているんだと思うかもしれません。

松方幸次郎も、本人曰く、審美眼はありませんでした。しかし、経営する神戸の造船現場を思い出す絵画を買い求めて、ホテルの部屋に飾っているうちに、絵から励まされている気持ちになりました。この経験がコレクション形成へと進ませたのです。

つまり、美術を解するということは、心で感じるもの。美術の知識や自分の心の動きの理由説明は、付随的な要素にすぎません。

心を揺り動かすことが原動力につながるから、アート(美術品)は豊かな国、豊かな暮らしに求められるのです。

 

映画『黄金のアデーレ 名画の帰還』

サイモン・カーティス監督、ヘレン・ミレンさん、ライアン・レイノルズさん主演)

アメリカに亡命したユダヤ人老女のマリアが、オーストリアの美術館で展示されている名画「黄金のアデーレ」は自分のものであると、オーストリア政府に返還を求める裁判を起こす実話に基づくストーリー。 

黄金のアデーレ 名画の帰還 [DVD]

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アートは記憶を運びます

名画「黄金のアデーレ」は、マリアの伯父がクリムトに妻アデーレを描かせたもので、亡命前のマリアの思い出が詰まっていました。

マリアが返還を求める演説の中で、こんな言葉がでてきます。

皆さんにとってはクリムトの名画でも、
わたしには 家族の唯一の形見です

絵画は、記憶を運びます。どんな経緯で描かれたのか、誰と一緒に鑑賞したか。絵を観る度に、新たな思い出が積み重ねられ、家族のように、自分の分身のように離れがたい存在になっていきます。だから、自分や家族の命を守るかのように、アートのために一生懸命になるのです。 

 

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ここまで読んでくださって、ありがとうございました。