Book In Life 迷子の本棚

読書で心を癒しましょう。テーマにあった本や映画の紹介と、その本や映画を通じて考えたことをアレコレ書いています。本に出てくるお料理の再現にも挑戦しています。

大人の宝探しをしてみませんか

あなたは宝探しをしたことがありますか。 

私は小さい頃にやって、とても楽しかったな。自分でもゲームを作ったこともあります。

ちょっとしたオモチャの宝を隠して、次に隠し場所のヒントを書いた紙を隠して、そしてまたヒントの紙の隠し場所を書いた紙を隠して~と繰り返していきます。

最後の紙を誰かに渡して、宝探しをしてもらうのですが、隠し場所が近かったためにワープしてしまうハプニングが起こったりしました。

きょうは、大人の宝さがしをテーマにご紹介します。 

 

谷瑞恵さんの『まよなかの青空』

修学旅行で乗ることのできる貸し切り列車「あおぞら号」にはときどき、 いないはずの人物「ソラさん」が乗っていて、ソラさんに会えるといいことがあるという都市伝説があります。

高校時代、家に居場所のない孤独を抱えているときに支え合った男女が、30代、人生に行き詰まりを感じている中で再会し、「ソラさん」を探すストーリー。 

まよなかの青空

まよなかの青空

 

 主人公のひかるは、亡き父親が「開けられたら、いちばんほしいものが手に入る」と言ってくれた、からくり箱の中身を知りたくてソラさんを探します。そして、つらい過去を抱えた人たちと出会ううちに気づきます。 

 あの父親だから、わたしに自分のほしいものを考えてほしかったんじゃないかな。(中略)本当にほしいものがあって、それのために一生懸命に箱を開けようとするのって、努力してほしいものを得るのと似てるじゃない?

なぜソラさんを探しているのか?それは苦しい「いま」から抜け出すきっかけが欲しいから。もし十分に幸せだったら、ソラさんのことを思い出しても、実際に探し始めたりはしないはずです。

苦しい「いま」にいると、なぜこんな状態になったのか、何が悪かったのかと過去にばかり目が行ってしまいがちです。でも、苦しいときにこそ見るべきは「未来」。今よりも良くなる「未来」を思い描くことが必要です。

「いちばんほしいもの」って何だろう?自分が望むものは何だろうと考えているとき、わたしたちは未来をみています。

大人の宝探しは、未来を見つけるためにするのかもしれません。

 

宮本輝さんの『三千枚の金貨』

「桜の木の根元に三千枚の金貨を埋めた。見つけたら、あんたにあげるよ」

斉木の脳裏に、5年前にたまたま同じ病院に入院していた男の話が繰り返しよみがえります。時期を同じくして、目つきが悪く怪しい男が金貨の情報を求めて現れます。

あれは死を前にした人間のたわごとではなかったのか。時価1億円に相当する金貨を渡してなるものか。宝探しが始まります。  

三千枚の金貨〈上〉 (光文社文庫)

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  • 作者:宮本 輝
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2013/01/10
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三千枚の金貨(下) (光文社文庫)

三千枚の金貨(下) (光文社文庫)

  • 作者:宮本 輝
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2013/03/08
  • メディア: Kindle
 

こちらの主人公の斉木は、先輩の右腕となって始めたベンチャー会社が当たり、充実の時を迎えています。お金に困っているわけでもないのに、金貨を探すのはなぜか。

一緒に金貨のありかを探した仲間と交わす会話に、こんなセリフが出てきます。

多少の欲は無きにしもあらずだったけど、
俺はあの一本の桜の木を見つけ出したかったんだ。
そういう意味では、子供の宝捜しに近いな。
でも、どうもそれだけでもないって気がするんだ。

斉木は、最初から金貨探しに乗り気だったわけではなく、一緒に探す仲間が現れ、目つきの悪い男たちの鼻を明かし、金貨を正当な持ち主に渡すという義憤に駆られて、ようやく乗り出します。

大人の宝探しは、物質的なものを超えた充足を求めてやるのかもしれません。

  

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ここまで読んでくださって、ありがとうございました。