Book In Life 迷子の本棚

読書で心を癒しましょう。テーマにあった本や映画の紹介と、その本や映画を通じて考えたことをアレコレ書いています。本に出てくるお料理の再現にも挑戦しています。

この身体は誰のもの?

いったい何のために頑張っているのだろうって、思うことはありますか。

自分のため?家族のため?応援してくれる人のため?

どれも正解のはずだけれど、両立しないこともあって、むずかしい。

 

乾ルカさんの『心音』

生まれつき心臓が弱く、1億5千万円の募金を得てアメリカに渡り、心臓移植を受けた明音を、彼女を取り巻く人々の目を通して描きます。明音と同時期に心臓移植を望み、かなえられなかった少女の母親、いじめにあう明音に自身の過去を重ねる教師、孤独な明音の心に触れようとする同級生。彼女を見初めた上司。。。 明るい話ではありません。

心音

心音

 

明音は「皆さん(募金やドナー)のおかげで生かされている分、私は人一倍社会貢献する義務がある」と言って、常に明るく前向きに振る舞い続けます。けれど、「あなたの過去を知りたい」と言われたときに、それは母親からの言いつけで自分の心を偽る行為だったと打ち明けます。

感謝の気持ちを持つのは大事なことです。臓器移植を受けなくたって、私たちの毎日は、いろいろな人に支えられているのですから。

でも、誰かのおかげで今の自分があるということは、何ひとつ不平不満を言えなくなるのでしょうか。それでは、まるで助けてもらう引き換えに自分を明け渡してしまったかのようです。

苦しいと感じるなら、そこには無理があって心が痛んでいます。良い状態ではないのです。感謝は忘れない。その上で、やっぱり嫌なことは嫌だと主張できるようでありたいと思います。

 

映画『私の中のあなた(My Sister's Keeper)』(ニック・カサベス監督、キャメロン・ディアスさん、アビゲイル・ブレスリンさん主演)

11歳のアナは、幼い頃から病気の姉ケイトに何度も臓器提供をしてきましたが、「もう姉のために手術を受けるのは嫌。自分の体は自分で決める」と両親を訴えるというストーリー。

私の中のあなた (字幕版)
 

アナから訴えられたことを知って、 母親は激怒します。アナは頑として臓器提供を拒む一方で、ケイトとは相変わらず仲が良いという、一見矛盾した行動をとり、その真意が裁判で明らかにされます。 

母親は、ケイトを救うことに必死です。子供を想う母親らしい愛情のようにも思えます。でも、そもそもケイトのドナーになることを期待して、アナが誕生したのだったら。移植手術の都度、アナが苦痛とリスクにさらされていたのだったら。ケイトが完治の見込みのない闘病生活に疲れ切っていたのだったら、どうでしょうか。

私たちは人との関わり合いの中で生きていて、期待し、期待されます。期待は、相手に好意があり信頼しているからこそ、生まれます。だから、期待されるのは、存在価値を認めてもらえたようで嬉しくなり、期待に応えられないときは苦しくなります。

本人が求めているものと現実に即した期待であることが大事です。 

 

【関連記事】 

bookinlife.hatenablog.com

bookinlife.hatenablog.com

ここまで読んでくださって、ありがとうございました。