Book In Life 迷子の本棚

読書で心を癒しましょう。テーマにあった本や映画の紹介と、その本や映画を通じて考えたことをアレコレ書いています。本に出てくるお料理の再現にも挑戦しています。

男と女の間には溝があるのか

「男だから」「女だから」という言葉には、要注意。

男はこういうもの、女はこういうもの、という前提になる認識があるときに使われる言い回しだけれど、独りよがりで根拠がない前提である場合も多いものです。「女には母性本能があるから赤ん坊のウンチも臭くない」とかね。 

 

垣谷美雨さんの『定年オヤジ改造計画』

定年退職した「男と女は違う」が口癖で妻から見捨てられた男が、しぶしぶ引き受けた孫の保育園のお迎えをきっかけに、父親として家庭人として間違っていたことに気づくという話。

本のタイトルは、真実に目覚めた定年オヤジが、同じ過ちを犯さないように息子を改造する計画を進めるという意味。 

定年オヤジ改造計画

会社人間の夫と、その陰で家事育児を一身に引き受ける妻の構図。結果として、妻に見捨てられる夫たち。大人の女性にとっては、ありふれた話です。

面白いと感じたのは、定年オヤジの33歳になる娘のセリフ。

父さんはね、古いんじゃなくて間違ってるんだよ。

女性だけに家事育児を押し付けるのは時代錯誤と捉えていましたが、いやいや普遍的な間違いでした。

男と女の間に溝なんてありません。違いに注目するなら、男同士、女同士でも違いは見つかります。男でも、女でも、そこには何かを免除してもらう理由にするのは間違っています。

定年オヤジの「母さんは母性の塊だったよね」と言うのが、田舎で暮らす兄弟に「それは本や映画の世界と混同した幻想だ」と笑い飛ばされ、さらに今の若いお母さんは昔より大変だと諭される場面も興味深い。

「(昔は日本人の八割が農業をやっていて)村は一つの共同体だったんだから。ほんだから子育ても村ぐるみだったし、三世代同居で家族ぐるみで助け合ってやってだんだ」

 

「(会社がサラリーマンになった)男を朝から晩までこき使うためには、家で家事育児全部を引き受けてくれる女が必要だったってこどっだろ?」

 

「国の策略にまんまと引っかかったんだべさ。年寄りと赤ん坊の世話を女にさせてりゃあ、福祉にまわす金を削れるがらさ」 

 

「男に家事育児は無理」「女は家庭を守って子供と一緒に過ごせれば幸せ」と主張する男どもは、母性や家族愛という綺麗な言葉で騙された被害者なのです。

偉そうにふんぞり返っていて、なぜ被害者なのか。それは妻に捨てられる運命にあるからです。柔軟性が失われた年寄りになった頃に、家事技術を身につけていないのに、家事をするのは男の沽券にかかわると信じているのに、捨てられて独りになるのです。

傷つけられた記憶が生々しいと、「かわいそう」というより「ざまーみろ」と言いたくなるかもしれないけれど。

犠牲者予備軍の男性の皆さん、手遅れになる前に手を打ちましょー!

 

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ここまで読んでくださって、ありがとうございました。