Book In Life 迷子の本棚

読書で心を癒しましょう。テーマにあった本や映画の紹介と、その本や映画を通じて考えたことをアレコレ書いています。本に出てくるお料理の再現にも挑戦しています。

生命(いのち)を動かすのは強い想いです

最近はスポーツが盛り上がっていますが、スポーツの試合では、うまい、へたの技術力と同時に想いの強さが問われます。「絶対勝つという強い想いでがんばりました」とか「強豪チームが相手で闘う前から、気持ちが負けていました」というコメントを聞いたことがあると思います。想いの如何が勝敗に影響を及ぼすなんて、すごいですよね。

きょうは、そんな強い想いをテーマに紹介します。 

 

新井素子さんの『ネプチューン

(『今はもういないあたしへ』に収録されています)

大学生の洋介、由布子、正行は 、海のただなかにある怪しい工業ドームを見に行って、全裸の女の子が漂っているのを見つけます。病院に担ぎ込むと、健康体で眠っているだけだと言われます。まるで人魚姫のように自分に足があることに驚き、普通に話すことができません。いったい彼女は何者なのでしょうか。 

 『ネプチューン』は、未来に夢をふくらませ、海や空にロマンを抱く二人の男の子と二人のロマンに惹かれる女の子のストーリー。正行は由布子にこんな風に語ります。  

突然変異や自然淘汰だけで、こんなに生物が多様に進化するもんか。
みんな同じ、たった一つのことを想って、時間の中を歩んできたんだ。
この外には何があるんだろう、行ってみたい、見てみたい、知りたい...。そして、生物は陸にあがり、鳥はつばさをもち、人間は頭を持った。

生物は未知への強いに導かれて進化し、人類となる道をたどり、わたしたち人類はまた、未知への強い関心を持って、この世界を開拓し、文明を開化させているのです。 

 

榎田ユリさんの『死神もたまには間違えるものです』

平凡で地味な会社員の高梨宏、女子高生の久瑠実、定年退職した喜多山、イケメン僧侶の東敬真は、死神を名乗る男から「あなた方はもう死んでいます」と告げられ、「もう死んでいるんだけれど、本人がそれに気づいていない状態」で、修正されるまでに死ぬ前にやっておきたいことをすませるように勧められます。

4人が詐欺の一種かと疑いつつ、納得できる部分もあって、戸惑いを抱えながら過ごす人生最後の数日が描かれます。 

死神もたまには間違えるものです。 (新潮文庫nex)
 

死が中途半端になった状態の4人は、ひとりまたひとりと、成仏のときを迎えます。最後に残った高梨に、死神はこんな説明をします。

みなさんを『死の完遂』に導くには、それなりのエネルギー量が必要だったんです。そのエネルギーを簡単な言葉で表すと、こうなります。
『死にたくない!』その強い気持ちこそが、エネルギーなんです!

  『死にたくない!』という強い気持ちが死を完遂させる、一見矛盾していますが、なるほどなぁ~と納得してしまいました。

何度も生まれ変わる「転生」は東洋では馴染み深い考えですが、どうして戻ってくるのかは分かりません。でも「死にたくない。もっと生きていたい。やり残したことがある」という強い想いを抱えながら死んだなら、戻ってくるしかないありません。

生命(いのち)を動かしているのは、強い想いです。

  

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ここまで読んでくださって、ありがとうございました。