Book In Life 迷子の本棚

読書で心を癒しましょう。テーマにあった本や映画の紹介と、その本や映画を通じて考えたことをアレコレ書いています。本に出てくるお料理の再現にも挑戦しています。

脇役にもドラマがあります

あなたは人前に立つのが好きですか。それとも苦手ですか。

世の中には、人の注目を集めると、俄然やる気が出てくるタイプもいれば、気弱になってオドオドしてしまうタイプもいます。いろんなタイプの人がいて、上手く回っているのだと思います。 

 

近藤史恵さんの『サヴァイヴ』

自動車ロードレースは、ひとりのエースを勝利させるために、チームメイトがアシストする団体競技。いかにして、ストイックなエースの石尾が誕生したのか。いつ、ベテラン選手の赤城がアシストに徹する決意をしたのか。

ロードレースに人生をかけて闘う選手たちの葛藤を描く短編集。

サヴァイヴ (新潮文庫)

『サヴァイヴ』は、自転車ロードレース小説『サクリファイス』、『エデン』のサイドストーリーに位置付けられます。

サクリファイス』、『エデン』の前後譚であり、『サクリファイス』の主役、白石誓(チカ)のチームメイトに光を当てたスピンオフ譚が含まれることから、サイドストーリーとされるわけです。

そして、主役のチカがロードレースの花形、エース選手に尽くすアシスト選手で、そもそも『サクリファイス』シリーズ自体が脇役(=サイド)を描くストーリーなので、『サヴァイヴ』は二重の意味でサイドストーリーと言えます。

「誰もが自分の人生の主役だ」と言った人がいますが、やはり、ロードレースのエースとアシストの関係のように、注目を浴びる人生もあれば、注目が集まらない人生もあります。

チカは、本場フランスの完走者が半分にも満たない過酷なレースを走りながら、つぶやきます。

晴れの日には晴れの日の苦痛があり、雨には雨の苦しみがある。

これは「エースにはエースの苦労、アシストにはアシストの苦労」「注目を浴びる苦しみ、注目が集まらない苦しみ」と言い換えることができます。

ロードレスのエースとアシストは、まったく別の役割をになっています。どちらが上でも下でもないし、どちらの方が楽ということもありません。

ちょうど映画や舞台関係者の労をたたえる主演(男優/女優)賞、助演(男優/女優)賞は、並べて扱われることが多いけれど、1番の賞と2番の賞ではないようにです。

主役と脇役は、全く異なる役割を担っています。そして、脇役のドラマが熱いほど、全体のドラマも重厚な仕上がりになります。

脇役上等。注目を集めるだけが人生の価値ではないのだから。

 

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