Book In Life 迷子の本棚

読書で心を癒しましょう。テーマにあった本や映画の紹介と、その本や映画を通じて考えたことをアレコレ書いています。本に出てくるお料理の再現にも挑戦しています。

たとえ落ちぶれても、誇り高く生きるべし

あなたは何かひどい目にあったとき、どんな風に対処しますか。

ひとり、グッとこらえて、早く忘れるように努めますか。それとも、家族や友人に「もう、こんなことがあったの~」って聞いてもらいますか。

人に話すとストレス発散できることもあるけれど、同じことを何度も聞いてもらうのは逆効果のようです。 

 

原宏一さんの『ヤッさん』

タカは、仕事をなくしアパートを追い出されて、銀座のビルの谷間に段ボールを敷いて寝ているところをヤッさんに蹴飛ばされます。「ホームレスは物乞いじゃねぇんだ。家も財産も仕事も何アも持ってねえけど、唯一、人間としての矜持だけは持っていなきゃいけねえ」ヤッさんは銀座では有名なホームレスで、築地市場の仲買人と一流料理店の間を取り持つことで、食事をさせてもらっています。タカは、ヤッさんの哲学がある生き方に感銘して弟子入りします。

ホームレスのヤッさんとタカの人情あふれるグルメ事件簿、連作短編です。

ヤッさん (双葉文庫)

 

ヤッさんには、決めセリフがあります。

1つ目は「ホームレスにはホームレスの矜持ってもんがなきゃならねえんだっ!」

2つ目は「ありきたりな身の上話は二度と口にするな」

ホームレスの矜持ってなんだ?どんなことがあったのか聞いてもらいたいと思うのはいけないのか?そんな疑問が湧いてきますが、このヤッさんの解説を聞くと納得できます。

「身の上話ってのは、逃げの道具でしかねえ。若えうちから身の上話にすがってたら、一生、身の上話に頼って生きていくようなやつになっちまうぞ」 

落ちぶれた自分を恥じればこそ、言い訳をしたくもなるし、てん末を聞いて欲しくもなるけれど、嫌なことを語って再現することで、いつまでも自分をその嫌なことに縛り付けることになります。

ホームレスになったからと、着のみ着のまま異臭を発しながらゴミ箱をあさるのも仕方ないと諦めたなら、ホームレス生活から抜け出すことはできません。

ヤッさんのように常に清潔に身ぎれいに保ち、身体を鍛えていてこそ、道が開けるチャンスもめぐってこようというもの。

大変な目にあったからといって楽な方に流れては駄目。たとえ落ちぶれても、誇り高く生きるべし。 

 

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ここまで読んでくださって、ありがとうございました。