Book In Life 迷子の本棚

読書で心を癒しましょう。テーマにあった本や映画の紹介と、その本や映画を通じて考えたことをアレコレ書いています。本に出てくるお料理の再現にも挑戦しています。

手紙が勇気をくれました

あなたは最近、手紙を書きましたか。

メッセージがすぐに届くメールやSNSを使うのが当たり前になると、手紙を書くのは億劫になります。便箋や切手を用意する手間もありますしね。でも、手紙にはメールやSNSとは異なる良さがあるはず。

きょうは、手紙をテーマに紹介します。

 

森沢明夫さんの『水曜日の手紙』

水曜日の出来事を手紙に書いて「水曜日郵便局」宛てに送ると、後日、別の誰かの水曜日の出来事が書かれた手紙が送られてくるというサービス。

主婦の井村直美は夢をかなえた自分を空想しながら、サラリーマンの今井洋輔は夢に向かって踏み出す自分を想い浮かべながら、見知らぬ誰かに手紙を書きます。水曜日郵便局を介してふたりの手紙が交換され、そして奇跡が起こります! 

水曜日の手紙

水曜日の手紙

 

主婦の直美とサラリーマンの洋輔は、ふたりとも抱えている事情は違えど、自分の人生を不甲斐なく思って、自分のことを嫌っています。「自分の心に耳を傾けて」「一度きりの人生を楽しめ」という言葉をかけられて、心を揺さぶれながらも、現実はそう甘くない、これでも一生懸命やっているのだと反発心をおぼえます。でも、ふたりとも水曜日の手紙には愚痴や不満を書いたりはしません。

誰かに手紙を書くとき、ネガティブ満開な内容にするのは難しくて、ちょっとは前向きなことを書こうとしてしまうものです。 それは見栄なのかもしれないけれど、前向きな言葉を探しているうちに、自然に希望の種が見つかるなんていいですよね。

水曜日の手紙を受け取ったふたりはまた、希望の種を感じ取って、実際に前に踏み出すのです。

手紙が運ぶ言葉には、未来を変える力があります。

 

岩井俊二さんの『ラストレター』

売れない小説家の僕は、中学校の同窓会に出席します。元恋人の未咲との再会を期待していたのですが、そこに居たのは未咲のフリをしている未咲の妹、裕里。

僕は気づかないふりをして、未咲を演じる裕里とメール交換をして、未咲を想いながら「まだずっと君に未恋してます」とメールを送ります。数日後、「あんなメッセージを送ってくるから、主人が誤解してスマホを壊してしまった。もうメールは読めない」と書かれた手紙を受け取ります。連絡先が書いていないので詫びようもなく戸惑っていると、次の手紙が届き、また数日後に一通という具合に一方通行の文通が始まります。

なぜ裕里は姉のフリをしているのか。一方通行の文通の先には何があるのでしょうか。 

ラストレター

ラストレター

 

 「ラストレター」には、さまざまな手紙が登場します。

そもそもこの小説自体が亡き恋人に贈る手紙の体裁で、その中で手紙を書いた思い出を語る手紙を書くという入れ子構造。学生時代の僕のラブレター、裕里のラブレター。姉や母親になりすまして書く手紙。裕里の義母が書く恩師に送る手紙。そして子供への遺書。

どの手紙も何かを伝えたくて、何かを聞きたくて一生懸命です。こめられたメッセージは必ずしも届くとは限らないけれど、想いが伝わったとき、読み手の力になっています。

 

手紙が運ぶ言葉が、前に進む勇気を引き出すのです

 

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ここまで読んでくださって、ありがとうございました。