Book In Life 迷子の本棚

読書で心を癒しましょう。テーマにあった本や映画の紹介と、その本や映画を通じて考えたことをアレコレ書いています。本に出てくるお料理の再現にも挑戦しています。

秘密は、人を結びつける絆になるか

あなたには秘密がありますか。その秘密を知っている人はいますか。

他の人には言えないことを話せる相手がいることが救いであることは間違いありません。秘密を共有することで、より絆が深まるのでしょうか。

 

村山由佳さんの『嘘 Love Lies』

秀俊、美月、亮介、陽菜乃は中学校の同級生。性格も生まれ育った境遇が異なりますが、夏休みの自由研究で同じ班になったのをきっかけに仲良くなります。友情と淡い恋心が芽生え始めた頃、悲しい事件が起こり、大変な秘密を共有します。それから20年が経ち、4人の人生はどこに向かうのでしょうか。

嘘 Love Lies

 

4人は、悲しい事件を境にそれまでに想像もしていなかった人生を歩んでいきます。

亮介は、陽菜乃に好意を寄せながらも、その想いに応えてはもらえないと感じていましたが、誰にも言えない秘密を共有することで、陽菜乃と共に生きていく資格を手に入れたと考えます。これを陽菜乃が受け入れるので、秘密が絆を強化するようにも思えますが、ふたりの心の隔たりは埋まりません。

秘密は、秘密を共有する相手との距離を縮めるのではなく、ただ秘密を共有しない相手との距離を広げるのです。

一方、秀俊と美月は、互いをかけがえのない存在と思いあう関係になりますが、秘密を含め何でも話せる間柄かというと、それは真逆で、新たな秘密を積み重ねていきます。互いに秘密を抱えていることを承知していて、それでいて、絶対の信頼を抱いているのです。

ふたりがこんな会話を交わす場面があります。

「これまであなたが抱えてきた秘密の中で、今だったら打ち明けられるようなことはない?みんなにとは言わない。せめて私にくらい、教えてほしいよ」

 「美月がこれまで誰にも言わなかったことを、俺にだけ打ち明けてくれるっていうなら、俺も考える」

秘密は、近づきたくても近づききれない、心の距離を作り出します。だから打ち明けて欲しくなります。でも無理やり秘密を聞きだしたところで、心は近づきません。本当に相手のことを大切に想うなら、話せるときがくるのを待たなければなりません。

秘密があっても、心を通わせることはできるし、むしろ、秘密を抱えていることを含めて、相手を受け入れることが、絆につながっていくとおもいます。

 

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ここまで読んでくださって、ありがとうございました。