Book In Life 迷子の本棚

読書で心を癒しましょう。テーマにあった本や映画の紹介と、その本や映画を通じて考えたことをアレコレ書いています。本に出てくるお料理の再現にも挑戦しています。

罪と向きあってこそ、明るい未来がやって来ます

もし、あなたが誰かが悪いことをしていることに気づいたら、どうしますか。そして、その悪いことをしているのが恋人だったら、親友だったら、自分の子供だったとしたら、そこで取る行動は変わりますか。 

 

西條奈加さんの『無花果の実のなるころに』

中学生の望は、父親の転勤で神楽坂に住む祖母、お蔦さんに預けられます。

元芸者で気風のいいお蔦さんが営む履物店は、ご近所衆のたまり場になっていて、いつもワイワイガヤ。望の親友が通り魔事件で捕まったり、先輩の絵画作品が傷つけられたり、お蔦さんの麻雀仲間が振り込め詐欺にあったり、遺産騒動に巻き込まれたり。

ちょっとお節介なお蔦さんが名推理を働かせて解決する、ほのぼの日常ミステリです。

無花果の実のなるころに (お蔦さんの神楽坂日記) (創元推理文庫)

 

無花果の実のなるころに』には、ほんの小さな出来心から間違いを犯してしまう人たちが出てきます。自分はひどい目にあったのだから、このくらい構わないだろう。ストレスで押しつぶされそうなのだから、このくらいは許されるだろう、と。大人にも子供にも、誰にでも訪れる魔の曲道です。

さらに、その間違いに気がついた上で目をつむろう、肩代わりしようという人が現れます。怒られるのは嫌だ、誰にも言わなければ分からないよ。悪魔のささやきです。

お蔦さんは、ここに危うさがあると言います。 

罪を犯して罰を受けないというのはね、実は当の本人がいちばん辛いんだよ。

最初のうちは、うまく罪を免れたと思うかもしれない。けれど時が経つにつれ、まるで地震の揺り替えしのように、ぐらりと気持ちが揺れることがある。あんな罪を犯しておきながら、こうして笑っていていいんだろうか。いつか誰かにその罪が暴かれて、いまの暮らしをすべて失うのではないか。そんな疑心暗鬼がわいてくるときが、きっとある。

あまりにもその揺れが激しいと、立っていることすら困難になる。平衡感覚をなくした揚句、また罪を重ねてしまうかもしれない。

間違いを犯した、その瞬間に魔の道を行くことが決まったように感じます。でも、そうではありません。

私たちは、誰だって間違いを犯すことはあります。そのときは魔の道に足を踏み入れただけ。まだ引き返せます。その次の行動が未来を決めるのです。

 

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ここまで読んでくださって、ありがとうございました。