Book In Life 迷子の本棚

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高度経済成長もバブルも去った現代の生き方とは?

あなたは、 ご両親と話が合わないと感じることがありますか。分かって欲しいのに分かってもらえない、言葉をつくしても埋められない感覚のズレ。

世代ギャップは、味方と信じていた身近な人だからこそ、つらくなります。

 

朱野帰子さんの『真実への盗聴』

年金制度の破綻が明るみになり失業率が高まる中で、大手製薬会社アスガルズの寿命遺伝子治療薬「メトセラ」開発成功というニュースが世間を騒がせます。「メトセラ」治療を受けると、すべての人が健康に100歳まで生きられるというのです。

ブラック企業をやっとの思いで辞めた七川小春がアスガルズの求人に応募すると、「メトセラ」を阻止しようとする動きのある子会社に潜入し、陰謀を明らかにできたら正社員しようと言われます。人工的に寿命を延ばすのは良いことなのか、小春は迷いながら潜入調査を進めます。そこで明らかになったのは何だったでしょうか。

真実への盗聴

 

小春は、お母さんからの電話を取るたびにイライラしています。就職難で苦しんでいるところに、育休制度のある会社に入れとか、夫の年収が少ないなどと言われるのですから無理もありません。

人は自分の経験をもとに判断します。右肩上がりの時代に専業主婦で過ごしたお母さんのアドバイスは、不況の真っ只中に社会に出た若い小春には役に立たないどころか、生れ出たタイミングによる格差を見せつけられて苦痛なのです。

いつの時代も世代間ギャップがあって、「最近の若者は~」なんて言われるものですが、ここまで異なる状況を生きて、埋めようのない感覚のズレを抱える親子の組み合わせは、幕末以来かもしれません。

小春のおばあちゃんのこんなセリフが出てきます。

あなたはあなたの時代を生きなきゃいけない。それはもう懸命に生きていかなきゃならなんだ。国だとか会社だとか、そんなものをあてにしちゃいけない。私から見ればね、あれほど頼りにならないものはないんだ。不満があるんだったら、欲しいものがあるんなら、自分で戦って勝ち取りなさい。

そう、小春の苛立ちや苦しみは、親世代の生き方が通用しないことには気づいていいるものの、それに代わる生き方が分からず、先の見えない不安から逃れられないところに根差しているのです。

高度経済成長もバブルも去った現代は、どう生きていけばよいのでしょうか。

『真実への盗聴』の中に明確な答えはありませんが、「国や会社をあてにしない」生き方は「個」を大事にする生き方であろうと思います。

なぜなら、「国や会社をあてにして」恩恵を得るためには、国や会社の規格に合わせる必要がありました。

規格があるのは、何を目指せば良いかが明確で楽なこともあったけれど、苦しいこともありました。曲がったキュウリがはじかれて市場に出回らないように、個性が目立つとはじかれてしまうから、普通で標準であるフリを強いられてきました。失敗は規格外れとみなされてきました。

そんな風に考えたら、これからの時代も悪くないような気がしてきます。

 

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ここまで読んでくださって、ありがとうございました。