Book In Life 迷子の本棚

読書で心を癒しましょう。テーマにあった本や映画の紹介と、その本や映画を通じて考えたことをアレコレ書いています。本に出てくるお料理の再現にも挑戦しています。

染みかどうか、決めるのは自分

あなたが好きな家事はなんですか。

炊事、洗濯、掃除。家事の中のいちばん人気は、洗濯だそうです。シャツもタオルも、みんな綺麗になると気持ちいですものね。いちばんの不人気は、掃除。達成感を得にくいから。これも分かる気がします。

  

野中ともそさんの『洗濯屋三十次郎』

中島クリーニングの店長を先代の次男、三十次郎が引き継ぎます。洗濯の知識がなくマイペースで覇気のない、名ばかりの店長です。店自慢の染み抜き技術は、ベテラン職人の荷山長門が担っています。 

亡くなったおじいちゃんの気配を感じたいという女の子、子供の成長を遡っているかのような汚れ物を持ち込む熟年女性。心優しい店長と昔気質の職人のクリーニング店を舞台に人間模様が描かれる心温まるストーリーです。 

洗濯屋三十次郎

 

三十次郎の人柄が良く分かる、こんなセリフがあります。

じゃましない染みは、染みじゃない。 

ランチの際にできた汚れは、ランチの思い出。ダンガリーシャツに散ったぼやけた色抜けは、空に浮かぶ雲みたいな「ちょっと気の利いたアクセント」だから染み抜きは必要ないと言うのです。

いかにも能天気でお気楽に聞こえますが、三十次郎にも後悔してやまない過去があることが分かると、実に意味深い言葉として響いてきます。

受け入れようと、受け入れまいとあがこうと、過去は雲みたいな顔でそこに浮いているんですなぁ

これは『洗濯屋三十次郎』の後半で、ベテラン職人の長門の、誇れない過去が明らかになったときの長門のつぶやきセリフです。

私たちは、過去の積み重ねで出来ています。過去に起きたこと、起こしてしまったことを変えることはできません。けれど、自分史の「ちょっと気の利いたアクセント」そんな風に考えられたら、少し気もちが楽になります。  

 

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ここまで読んでくださって、ありがとうございました。