Book In Life 迷子の本棚

読書で心を癒しましょう。テーマにあった本や映画の紹介と、その本や映画を通じて考えたことをアレコレ書いています。本に出てくるお料理の再現にも挑戦しています。

幸福感をもたらすのは、人とのつながり

あなたの人生はうまくいっていますか。充たされていますか。

この世界の人の数だけ、いろんな生き方があります。幸せのカタチも、生き方の数だけ、さまざまなのでしょうか。

 

石田衣良さんの『爽年』

あれから7年。男娼のリョウが、ボーイズクラブの経営を引き継いでから7年が経過しました。30代を目前にして、リョウは転換期を迎えていることを感じます。

男娼は天職で、女性たちの幸福を増やす助けをしている。けれど、自分はなにか大切なものを失っているのではないか。誰もが年をとり成長する。自分はこの先どこに向かえばよいのか。性の欲望を見つめてきたリョウは、どんな答えを出すのでしょうか。

爽年

 『爽年』の終盤で、リョウくんが穏やかな幸福感に充たされる場面が出てきます。 

何度も何度もこの人だったんだと考えた。

それは心が静かになる経験で、とても穏やかな幸福感だった。

人とのつながりに幸福感を抱くなんて、『この国に住む人たちの不幸の半分は、充たされない性から生まれている』と言っていたリョウくんにしては、ありふれた幸せな気もしますが、ありふれているのは万人が求めているものだからで、簡単に手に入るわけではありません。

人とのつながりは目に見えないけれど、つながっていると、絆があると信じられると、安心して頑張れます。絆が感じられないと、悲しく心細くなります。夫婦、恋人の絆は、あるはずだからこそ、確信が持てないと、いっそう不安に駆られます。

「充たされない性」は、確かめられない絆の象徴なのです。 男娼たちは、女性の心に寄り添うことで、不安を和らげてくれます。けれど、それは一瞬だけ。本当に欲しいのは、絆なのです。

 

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ここまで読んでくださって、ありがとうございました。