Book In Life 迷子の本棚

読書で心を癒しましょう。テーマにあった本や映画の紹介と、その本や映画を通じて考えたことをアレコレ書いています。本に出てくるお料理の再現にも挑戦しています。

すぐそこに見知らぬ世界があります

あなたには、いくつの社会に属していますか。

家庭と仕事と、他にも何か。人は、3つから4つの社会に属していると良いと言われます。

複数の社会に属する利点とされているのは、まず、1つだけだと、何かうまくいかないことは、すなわち人生行き詰まりになりますが、3つであれば、うまくいっていないのは30%ほどに過ぎません。

また、さまざまな人と知り合うことで、自分とは全く異なる価値観や考え方の人がいることに驚かされて、いかに狭い世界にいるかが分かるのです。

きょうは、無償のお仕事をテーマに紹介します。

 

中澤日菜子さんの『PTAグランパ!』

67歳の武曾勤は、定年退職後の気ままな生活を送るはずが、出戻り娘に代わって、孫娘の友理奈の学校のPTAの副会長を務めることになります。PTA会長は金髪にサングラスの育メンだったり、子連れで打ち上げ会をしたり。会社とは勝手の違う社会で、戸惑うことばかり。

団塊世代の典型的な昭和男子のおじいちゃんが奮闘する楽しい小説です。 

PTAグランパ! (角川文庫)

PTAグランパ! (角川文庫)

 

周りから浮いている勤の言動をみて、パート主婦の順子は考えます。

会社とPTAは違う。会社は利益を追求するもので、だからその趣旨にかなえばある程度のことは許されるんじゃないだろうか。

PTAはそういったことには関係がない。ボランティア精神、ひととひとの絆のようなもの、なんというか~もっと柔らかく、壊れやすい関係のうえで成り立つものなのではないだろうか。

  

 友井羊さんの『ボランティアバスで行こう!』

被災地に向かうボランティアバスツアーには、さまざまな想いを抱えた人が乗り込んでいます。就職活動でのアピール材料づくりのため。知人の行方、軌跡を探すため。自分が役に立つことを確認するため。被災地には、当然のことながら、さまざまな事情を抱えた人がいます。家が倒壊し身寄りを亡くした老人。行方不明の家族を探す姉弟

被災地での人とのつながりを通じて、参加者たちは自分を見つめなおします。 

ボランティアの実情を交えて描かれる心温まるミステリ連作短編です。 

ボランティアバスで行こう! (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)

ボランティアバスで行こう! (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)

 

  

私たちは、自分に近しい人に囲まれて暮らしています。 子供のいない人には、子供を取り巻く状況を知る機会は少なく、子供を持つ人とは異なることを考えているものですし、働いている人には、扶養されている人の事情は分かりません。

抱えている事情の違いは、価値観や考え方の違いにつながっていきます。同じ国の同じ街に、すぐそこに見知らぬ世界があるのです。

家事労働やボランティアなど、無償のものは、とかく下に見られがちですが、「お給料をもらっているのだから」という一言でくくることのできない分、むしろ大変なことが多くなります。目的や、やる気の度合い、能力や経験値、提供できる時間もバラバラで、まとまりのない集まりになってしまいがちです。

でも、気持ちがひとつにまとまったとき、利得にとらわれない分、そこから生み出されるものには限りない可能性が広がっています。 

 

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ここまで読んでくださって、ありがとうございました。