Book In Life 迷子の本棚

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終わるから、始められるのです

世の中には、一生懸命に取り組んでも、なかなか認められにくい仕事があります。「終わり」に関係する仕事は、その一つです。葬儀屋さん、残務整理屋さん...人の不幸を商売にしているような気がしてしまうのですね。 

 

原宏一さんの『閉店屋五郎』

五郎の商売は、中古の厨房機器やオフィス機器、家具を引き取って売ること。とくに閉店を決めた店舗からの買取り撤去に力を入れていることから「閉店屋 五郎」と呼ばれています。

五郎は、おっちょこちょいで、惚れっぽくて人情に厚い。買取り撤去を依頼してきた定食屋の主人に、お店の継続を勧めたり。ついつい、中古品を引き取るだけにとどまらず、依頼人の事情に首を突っ込んでは、採算に合わない行動を取って、経理を担当する娘の小百合に叱られています。五郎の買取り人情物語、6つの短編です。 

閉店屋五郎

閉店屋五郎

 

 

お店の「終わり」を商売の種にしている閉店屋ですが、五郎の毎日は悲壮感とは無縁です。その理由は2つ、あります。

1.終わりを迎えるのは依頼主であって五郎ではない

これは当たり前のことでありながら、案外、心情的には難しいです。

閉店に至る事情はさまざま。悲しみ、さみしさ、悔しさがあれば、どうしたって、それが伝わってきます。でもそこで、五郎に求められているのは共感ではありません。

五郎は、依頼主が愛着をもってきたものに精一杯の買取値をつけ、大切に使ってくれる買主をみつけます。そうして、依頼主がきちんと「終わる」ことを助けているのです。 

2.終わりを迎えた依頼主は、同時に始まりを迎えている

 五郎の依頼主は、不思議と「終わり」と同時に「始まり」を迎えています。

どうも、依頼主の「終わり」に戸惑う姿が五郎のおせっかい熱を刺激しているのですが、きちんと「終わる」と、自然に「始まり」が訪れるみたいです。そして、「始まり」への喜び、嬉しさが「終わり」への悲しみ、寂しさを打ち消します。

 

「終わり」を迎えたときは、悲しんだり、先の心配をするよりも「終わる」ことに集中するのが良さそうです。なぜなら、終わるからこそ、始められるのですから。

 

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ここまで読んでくださって、ありがとうございました。