Book In Life 迷子の本棚

テーマにあった本や映画の紹介と、その本や映画を通じて考えたことをアレコレ書いています

こうやって「小説」は、僕らのもとにやってきます

あなたは、わたしたちが楽しんでいる小説が、どんな風に生まれるのかを想像したことがありますか。生みの苦しみなんて、表現されることもありますね。

きょうは、小説の誕生をテーマに紹介します。

 

瀧羽麻子さんの『松ノ内家の居候 』

文豪、楢崎春一郎の孫を名乗る男が松ノ内家を訪れます。70年前、松ノ内家の現当主である貞夫の父、清之助は、楢崎を庇護をし、松ノ内家に居候させていた。松ノ内家に未発表原稿が眠っているのではないか、というのです。貞夫は渋い顔を見せますが、息子の孝之と孫の琴美が、有名人と関係があったことに興奮して、男を屋敷に迎え入れてしまいます。

幻の原稿の値打ちは、一億円。しかし、楢崎は、女癖が悪いことで有名な恋多き人物で、作風は私小説。幻の原稿には、松ノ内家のこと、松ノ内家の恥が書かれているのではないか。幻の原稿というお宝をめぐる騒動が、当時10歳だった貞夫の記憶をよみがえらせます。楢崎の松之内家滞在中に何があったのでしょうか。 

松ノ内家の居候

松ノ内家の居候

 

 

松ノ内清之助は、こんな言葉で楢崎を叱咤しています。

むろん、現実には力がある。それをそのまま書き写しただけでは、現実の持っている力を超えることはできない。それではわざわざ小説を書く意味がない。小説には、小説にしかできないことを成し遂げなければならない。すなわち、実際に起きたできごとをただなぞるだけでなく、それを昇華して新たな世界を立ち上げていかなければならない

小説は、現実に即したリアリティがありながら、さらに現実を超える部分を持っているからこそ、 私たちは、励まされたり、慰められたりするのです。

 

小路幸也さんの『小説家の姉と』

大学生になった朗人は、都内のマンションで暮らす姉から一緒に住んで欲しいと頼まれます。姉の美笑は、朗人が中学生の時に、雑誌の新人賞を取った小説家。一緒に住むのは構わないけれど、姉さんは何かを隠しているんじゃないのか。

朗人は、美笑のマンションに引っ越して、小説家の暮らしぶりを知ります。小説を書くペースづくり、時には執筆に集中するためにカンヅメになったり。小説家仲間や編集者との付き合い。そして分かった美笑の秘密とは何だったでしょうか。 

小説家の姉と

小説家の姉と

 

 

美笑は、こんな言葉で小説を説明します。

物語ってね、筋だけじゃないんだよ。その筋の中にどれだけ種を蒔けるかってことになるんだよ。

その種は読者の解釈によって芽を出し花が咲くものなの。

小説家が意図する種もあれば、意図してないところにも読者が勝手に種を見出して芽を出させてしまうものもある。

私は、これを読んでほっとしました。本の作者が一番伝えたいことと、このブログのテーマが一致しなくてもいいと言われた気がしたのです。

大事なことは、その小説が読者に何かを感じさせたり、考えさせたことだと思います。

このブログも、あなたが本を手に取ったり、何か思い考えるきっかけになれたなら、とても嬉しいです。

 

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ここまで読んでくださって、ありがとうございました。