Book In Life 迷子の本棚

読書で心を癒しましょう。テーマにあった本や映画の紹介と、その本や映画を通じて考えたことをアレコレ書いています。本に出てくるお料理の再現にも挑戦しています。

長男の嫁と「介護」ー厄介な「世間」さまが問題を大きくしている

あなたのご両親、あなたのパートナーのご両親は、お元気ですか。

介護は、逃げたくても、逃げ切れない、忍びくる問題です。両親を送り出した後、今度は自分が介護してもらう側に立つ日がやってきます。決して、他人事にはできません。

  

谷川直子さんの『私が誰かわかりますか』

義理の親の介護に悩み奮闘する長男の嫁たちの話。

78歳になる涼世は、認知症の夫の介護に疲れ、夫を老人ホームに入れます。もう限界で致し方ないと考えながらも、夫を追い出したと噂されることを気に病みます。

涼世の長男・隆行の嫁、桃子は、愛があってこその結婚という考えの持ち主で、長男の嫁が夫の両親の面倒を見るのは当たり前という考え方に抵抗を感じています。しかし、夫に嫌われたくない一心で、実の子供である夫の姉妹の協力を得られない状況で、義父の介護を受け入れます。

この他にも、同じく義父の介護をしている桃子の友人、育児と義母の介護を同時に背負うことになった隆行の部下が登場し、介護の悩みが語られます。 

私が誰かわかりますか

私たちは、世間の目から逃れることができません。 他人が何と言おうと関係ないと頭では考えても、やはり、二度と会わない人からだって、鬼嫁と呼ばれたくありません。

小さな集団の中で、お互いがお互いを批評して縛り合って秩序が生まれる。ささやかな、けれど強固なその秩序はさらに大きな集団を支え、人の心の中の良心の目となって社会を統べる。

これは、義父の介護に誠心誠意尽くした桃子の言葉です。

世間の目は、たしかに良心の役割を果たしています。でも、法律や社会制度と一緒で、個々の事情には十分に寄り添えていないし、社会環境の変化についていけていないところも多分にあります。家を継がなくなった長男には、親兄弟の面倒をみるだけの余力はないし、核家族化で人手もなく、残っているのは嫁だけ。実は、長男の嫁が背負わされる負担は、昔よりも増しているのです。

介護にまつわる問題は、ただでさえ、介護する相手への想い、家族間の関係、仕事や家事との折り合い、金銭事情など複雑に入り組んでいます。世間の目を意識せずに済んだなら、もう少し介護人は疲弊しないで済むのではないかと思います。

 

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