Book In Life 迷子の本棚

読書で心を癒しましょう。テーマにあった本や映画の紹介と、その本や映画を通じて考えたことをアレコレ書いています。本に出てくるお料理の再現にも挑戦しています。

「人生の転機」を経て、どこに向かうのか?

人生には、転機があります。それがいつで何回あるかは、人それぞれ。

転機を経て、私たちの人生はどこへ向かうのでしょうか。

 

宮本輝さんの『朝の歓び』は、45歳の江波良介が、妻を病気で亡くしたのをきっかけに、会社を辞めてから、昔の恋人との再会、イタリア旅行を経て、新しい生活を見つけるまでを描いた小説。

宮本輝さんの小説の主人公は、あーでもない、こーでもないと考えながら日々を過ごす中で、何かを見つけていきます。恋人、日出子との過去、息子の登校拒否、親友の愛人の妊娠、日出子の元カレの事故、疎遠になっていた兄との和解など。 『朝の歓び』には、良介を取り巻く人々の転機もふんだんに詰まっています。

 

きょうは、宮本輝さんの『朝の歓び』を読みながら、人生の転機について考えます。

新装版 朝の歓び(下) (講談社文庫)

新装版 朝の歓び(上) (講談社文庫)

新装版 朝の歓び(下) (講談社文庫)

 

転機は、いつ訪れるのか?

良介は長年勤めた会社を辞め、息子は高校中退したいと言います。これは、自分で作り出す転機。

良介の恋人、日出子は、良介の不注意な言動が元で職を失います。良介の親友、内海修次郎は、39歳の愛人が妊娠します。これは、突然降りかかった転機。

転機は、自分自身が作り出すこともあれば、何の前触れもなく突然に降りかかることも、自然な流れのように訪れて、後からあれが転機だったなぁと気づくこともあります。  

転機で好転させるには、どうすればいい?

良介は、娘の真紀に「どんな尺度で男性を選んだらいいの?」と聞かれたのをきっかけに、未来を完全に予想できないことに思いを巡らし、「不幸にならないための運」に恵まれることが大事だと言います。さらに「不幸にならないための運」を培う方法を考えながら、イタリアで出会った、笑顔を絶やさずに障害児を育てている夫妻を思い出します。

ぼくは、あの夫婦を見て、明るく振る舞うってことは、とんでもなく大きな力を、自分の環境にまき散らすんだと思ったね。

人は、明るくないと、幸福になれないと思ったね。

陽気で明るい立ち振る舞いを身につけることが、人生を好転させる鍵のようです。笑顔を作るのが難しいときは、懐かしい思い出の写真を見ると助けになります。

 

転機で暗転してしまったら?

良介の兄は、転機で暗転させた人物として登場します。良介は、兄を許せず、疎遠になっていましたが、取り返しのつかない過去を負ったのは、他ならぬ兄自身だったことに気づき、和解します。

兄貴は、人殺しをしたわけじゃないんだ。泥棒もやっていない。親父と考えが違ってただけだよ。世の中のことなんか、なんにもわかっていないのに、世の中に楯ついて、親に楯ついて、家出をしたんだ。

でも、ちゃんと自分の力で生活できる大人になって帰って来たんだ。親にとったら、それで充分じゃないか。

良介は、ゴルフ仲間の大垣老人から、自分のことを知ってほしいと言って、手紙のコピーを渡されます。それは、大垣老人と愛人との間にできた息子が書いた手紙で、そこには苦悩の末に「時が解決する」という言葉の深い意味を考えたと書かれています。

時は、なぜ多くの問題を解決するのだろう。

ただ単に、過ぎていく時間によって、物事が好転したり、忘却を生じさせたり、人間を成長させるのではない。

時を経ることは、時を待ち、自ら、時を作り、自分のなかで、浄化や慈悲や心の転換がなされて、それによって、何かが自分のなかに醸成され、その醸成された心の力が、すべてを解決していくのだ。 

たとえ、転機で暗転したとしても、それで終わりではありません。再び認められる日がきます。問題も、時が解決してくれます。

 

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ここまで読んでくださって、ありがとうございました。