Book In Life 迷子の本棚

読書で心を癒しましょう。テーマにあった本や映画の紹介と、その本や映画を通じて考えたことをアレコレ書いています。本に出てくるお料理の再現にも挑戦しています。

「女だけ」は吉とでるか、凶とでるか

唯川恵さんの『淳子のてっぺん』

淳子のてっぺん

登山家、田名部淳子の山を愛し、山に夢中になり、女だけの登山隊の副隊長としてエベレスト登頂を果たす話。

なぜ、「女だけ」の登山隊なのか。社会における男女問題を考えさせられます。

淳子は「いつかきっと男も女も関係ないと言わせてやる。どころか、負かしてやる」と反発心をエネルギーに奮闘しますが、やがて、「屈強さや瞬発力において、男にはかなわない。しかし、持久力や忍耐力では引けを取らない自信がある」と思うようになります。つまり、男女間には確かに差があるけれども、それは優劣を意味するのではなく、持ち味が異なるということです。

女性の登山パートナーを得てからの淳子は、「体系や体力に差がある男よりも、条件が似通った女同士の方がずっとスムーズに登れる。女は女と共に登る方が理にかなっているのではないか」と考えます。デコボコ・コンビよりは、デコデコか、ボコボコ。同じだから分かり合えるということですが、女だけの登山隊でも揉め事はでてきます。

男同士っていうのは意外と単純なんだ。縦社会っていうか、隊長の意見は絶対で、決まれば黙って従うしかない。文句があるなら隊から出て行けってことになる。もともと上下関係になれてるんだよ。

でも、女同士はそうじゃなだろ、横社会っていうか、みんな同等という意識がある

これは、淳子の夫、正之の興味深い分析ですが、縦社会に慣れた男同士でも揉め事は起こります。

(縦社会の男同士は)表にはださないけど葛藤はあるさ。(中略)

男の嫉妬っていうのは根深いから、足の引っ張り合いにもなる。ましてや文句や不満を言えない分、鬱憤がたまっていく。

むしろ、自分の意見をきちんと口にできる女同士の隊を羨ましく思う男もいるんじゃないかな。たとえ喧嘩になったとしても、風通しはいいわけだから

男女も、同性同士も、似通ったところもあれば、異なるところもあります。性別という明らかな違いに、上手く行かない理由を求めてしまいがちだけれど、大事なことは、足りないところを補いあって、より良くなることだと思います。

 

ここまでお付き合いいただき、ありがとうございました!