Book In Life 迷子の本棚

テーマにあった本や映画の紹介と、その本や映画を通じて考えたことをアレコレ書いています

戦争映画が作り続けられる理由

好きな小説が映画やドラマになると、気になりますね。まずは、自分と同じものを好きになった人がいるのが嬉しくなって、次に、どんな風になるのか期待と不安が入り混じった気持ちになります。原作に忠実に映像化されることもあれば、ストーリーや登場人物のキャラクターが変わることもあって、その違いを味わうのも楽しいと思います。

 

きょうは、岡田准一さん主演で映画化、向井理さん主演でドラマ化された百田尚樹さんの『永遠のゼロ』を紹介します。 

永遠の0 (講談社文庫)

永遠の0 (講談社文庫)

 

 慶子と健太郎姉弟は、祖母が他界した機に、祖母の最初の夫が特攻で戦死したこと、最初の夫との間に生まれたのが姉弟の母であることを知り、大好きなおじいちゃんと血のつながりがないことに驚きます。実の祖父、宮部久蔵は、どんな人物だったのだろう。二人は、戦友会に問い合わせ、祖父を知る人物を訪ねて回ります。最初に会った祖父の戦友に「奴は海軍航空隊一の臆病者だった」と告げられショックを受けます。さらに聞き取り調査を進めるうちに見えてきた宮部の姿とは。。。命の価値が軽かった時代に愛する国、家族、友人を守るために身を挺した若者の姿を描く感動作。

 

「思想」が根本から違っていたのだ。日本軍には最初から徹底した人命軽視の思想が貫かれていたのだ。これがのちの特攻につながっていったに違いない。 

戦争に対する考え方は、時代と共に移り変わります。この小説は、孫が祖父の人生を調べるという設定で、平和の時代を生きる者から見た戦争観が語られます。

既にたくさんの戦争映画が作られていて、名作もあるのに、どうして作り続けるのだろうと不思議に思ったこともありましたが、 戦争体験だけでなく、移り変わる過去の戦争の評価や戦争観を併せて伝えることが、語り継ぐということなのだと思います。 

 

原作にはない 映画・ドラマの場面

映画・ドラマには、一時帰宅した宮部が妻を少しでも安心させようと、軍から支給された外套を見せ、妻は極寒の地に送られることを察して、外套の内側に綿を入れたり、襟に皮を張ったり夜なべする場面があります。

これは、ストーリーの鍵となる宮部の外套の存在を伝える重要な部分で、原作の「あの外套は、私が仕立て直したものでした」という一言が、宮部と妻が互いを思いあっていたことが分かる心温まる場面に変わり、原作を超えていると感じました。 

 

映画版とドラマ版のいずれかを選択するならば、ドラマ版の方がお勧めです。映画の3倍の時間をかけて丁寧に描かれていますし、沖縄戦線を経て、宮部の面相がすっかり変わったことを伝える場面は、畳の上ではなく、飛行機の傍らに座り込む方が、飛行機乗りであった宮部に相応しいと感じました。 

 

ここまでお付き合いいただき、ありがとうございました!