Book In Life 迷子の本棚

テーマにあった本や映画の紹介と、その本や映画を通じて考えたことをアレコレ書いています

あの一瞬を取り戻したい

あなたには、苦しいとき、悲しいときに思い出す過去の出来事がありますか。その記憶は、あなたを励ましてくれるのですか。それとも、いっそう苦い思いにさせられるのでしょうか。

きょうは、過去の記憶をテーマに紹介します。

 

ほしおさなえさんの『銀塩写真探偵 一九八五年の光』

高校生の真下陽太郎は、写真部の部室で見つけたモノクロ写真に衝撃を受けます。陽太郎は、この作品の作者の写真家、辛島弘一に弟子入りし、修行を続けます。

やがて、大学生になった陽太郎は、辛島が所有する引き延ばし機に写真のネガをかけると、写真の中に入れることを知ります。辛島から過去の写真の世界で探したいものがあると打ち明けられます。陽太郎は、写真の中の世界に踏み入れます。探し物を見つけることができるのでしょうか。  

銀塩写真探偵 一九八五年の光 (角川文庫)

銀塩写真探偵 一九八五年の光 (角川文庫)

 

写真は、私たちを過去に引き戻します。その写真に写っていないことまで、忘れていた記憶がよみがえります。苦しくなったとき、悲しくなったときは、古い写真を眺めるといいかもしれません。前を向いて頑張っていた過去の自分を思い出して、励まされますよ。

 

谷瑞恵さんの『思い出のとき修理します』

仁科明里は、寂れた商店街の元ヘアーサロンに移り住みます。明里は、美容師の仕事も、憧れの先輩との恋も上手くいかなくなったときに、小学生のひと夏を過ごしたこの場所を思い出したのです。

ヘアーサロンの斜め向かいは時計屋さんで、ショーウィンドーに「おもいでの時 修理します」と書かれたプレートが立てかけられています。明里は、時計屋の青年と知り合い、商店街で起こる不思議な出来事を通して、おもいでが修復されていくのを目撃します。 

思い出のとき修理します (集英社文庫)

思い出のとき修理します (集英社文庫)

 

今の自分は、過去に起きたすべての出来事の先にいます。

過去の出来事は、変えられません。でも、それを良い思い出とするか、悪い思い出とするかの解釈は変えられます。

いろんなことがあって、今日の自分ができています。そう考えたら、すべての出来事が自分をつくる大事な部品のように思えてきませんか。

 

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今週のお題「読書の秋」

心を癒す現代小説を見つける3つのポイント

過日には、心を癒すほっこり系小説として、江戸人情小説を取り上げました。

きょうは、現代を舞台にしたほっこり系小説を紹介します。 

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小路幸也さんの『東京バンドワゴン』シリーズ

下町の老舗古本屋「東京バンドワゴン」を営む堀田家に、亡くなったサチおばあちゃんがとどまって、家族やご近所さんが関わる事件や謎を語ります。

東京バンドワゴン (集英社文庫)

東京バンドワゴン (集英社文庫)

 

最新作は、第13冊目『ヘイ・ジュード』ヘイ・ジュード 東京バンドワゴン

 

坂木司さんの引きこもり探偵シリーズ

保険外交員の坂木司が、引きこもりの友人、鳥井の関心を外の世界に向けようと、日常の謎を持ち込む安楽椅子探偵小説です。 

青空の卵 (創元推理文庫)

青空の卵 (創元推理文庫)

 

第2作目『仔羊の巣』仔羊の巣 (創元推理文庫)

第3作目『動物園の鳥』動物園の鳥 (創元推理文庫)

 

この2つのシリーズを心を癒すほっこり系小説としてお勧めするポイントは、3つあります。

1.日常ミステリー

夢中になって読めるストーリーは、いろいろありますが、 殺人事件や愛憎もつれるハラハラドキドキのサスペンスは、刺激が強すぎて、ほっこりできません。

日常の小さな謎を追いかけるくらいが、心を癒すのにちょうどいいのです。

 

2.知り合いが増えていく

どちらのシリーズも、日常の小さな謎を持って現れた人物が登場人物に加わっていきます。ちょうど、新しい友だちができた!という感じなので、読んでいる方も嬉しくなります。

しかも、この新しい友だちは、初登場では、ちょっと嫌なやつだったり、悪いことをしていたりします。この嫌なやつたちが受け入れられるってことは、初対面でヘマをしても大丈夫だって、希望が持ててほっこりします。

 

3.連作短編

連作短編の素晴らしいときは、長編のような積み重ねられたストーリーでありながら、読みたいときに読みたいだけ読めるところです。 

長編小説は、結末まで読み切らないとスッキリしませんが、ほっこりするために、夜更かしをするのは 本末転倒です。

シリーズの順番通りに読むのも良し、気に入ったストーリーをピックアップして読むのも良し。普段から手元に置いて、癒されたいときに取り出すなら、連作短編が向いています。

 

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今週のお題「読書の秋」

 

 

 

野菜好きになる! 食堂かたつむりの「人参フライ」をつくりました

前回に続き、食堂かたつむりに出てくる農家の跡取り息子と菜食主義女性のお見合い料理、人参のフライをつくりました。

お見合い料理のメイン1品目がこの人参フライ、2品目が前回の大根ステーキという流れになっています。 

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人参がエビフライに見えるのが楽しくて、かじったときの甘さで、思わず笑顔がこぼれます。かぼちゃも、ホクホクおいしいです。ぜひ、お試しください。

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にんじんとかぼちゃのフライ

材料

  • にんじん
  • かぼちゃ
  • 小麦粉、溶き卵、パン粉

 

作り方

  1. にんじんは、縦に大きく半分に切ります
  2. かぼちゃは、一口大に切ります
  3. にんじんとかぼちゃをレンジでチンして、柔らかく蒸します
  4. 3に小麦粉をはたきます
  5. 4を溶き卵に絡めます
  6. 5にパン粉つけます
  7. 6をからりと揚げます

 

試作メモ

  • にんじんだけでは寂しいし、溶き卵も余ったしまうので、かぼちゃもフライにしました。
  • にんじんは、フライパンで片面ずつ焼くようにすれば、たくさん油を使わずに済みます。かぼちゃは、側面があって、フライパンで焼くのは手間なので、たっぷりの油にポチャンと入れて揚げた方が楽です。
  • エビフライに見えるにんじんには、タルタルソースが合います。

 

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家族が「家出」しました...

あなたは、家出をしたことがありますか。家出をした理由を覚えていますか。家に戻ったきっかけは、何だったでしょうか。

「家出」は、家族持ちの人だけができる贅沢です。一人暮らしでは、家に戻れば「旅行」、戻らないなら「引越し」になりますから、「家出」することはできません。

きょうは、家族の家出をテーマに紹介します。  

 

大山淳子さんの『分解日記 光二郎備忘ファイル』

主婦の二宮雪絵は、舅の光二郎にイライラしています。光二郎は、趣味の分解を始めると没頭して、何を言われても耳に入らなくなります。壊れた家電製品を修理してくれるのは有難いのですが、最近は、分解したことを忘れて散歩に出たり、かえって壊してしまう失敗が続いています。

ある夏の暑い日、雪絵は、光二郎がエアコンを分解中で冷房を入れられないことに気づいて爆発。光二郎は、亡き妻の遺影を抱えて家出します。

そして、家出した光二郎が公園で昼寝から目覚めると、足元に血まみれの男が倒れていて、手には血の付いたカマがあり、殺人容疑をかけられたから大変!! 

分解日記 光二郎備忘ファイル

分解日記 光二郎備忘ファイル

 

光二郎は「家出」の理由を表す言葉を見つけられず、『ただ、分解してみたかった』と言います。

機能が衰えたものを分解して、磨いて、再生する。

いつもそれができたときに、「よし!」と腹に力が入り、充実感がみなぎる

「家出」というのは、機能不全を起こした家族を再生する一つの方法なのかもしれません。

 

渡辺淳子さんの『東京近江寮食堂』

寺島妙子は、定年を目前に控えて、10年前に家出した夫を探しに東京に出てきます。落とした財布を拾ってくれた縁で、近江寮の管理人、鈴木安江と知り合い、近江寮の賄い婦になります。妙子は、夫が家出して以来、他人との関わりを避けてきたが、賄いや夫の探索を通じて、心を開いていきます。そして、妙子に訪れた心境の変化とは、どのようなものだったでしょうか。夫と再会できるのでしょうか。 

東京近江寮食堂 (光文社文庫)

東京近江寮食堂 (光文社文庫)

 

「家出」は、家出人だけでなく、残された家族にも影響があります。

「家出」は、何でも話せるはずの家族が、自然に話せなくなった時に起こります。つまり、家を出たのが問題ではなくて、問題があって苦しいから家を出たのです。

家出人が、今度こそ話そう、話せると思わなければ、家に帰れないように、残された家族も、同様の心境の変化がなければ、家出人を迎え入れられません。

焦っても仕方がないよ。目の前のごはんを大事にするんだ。目の前のことに集中するんだ。毎日を大切にすれば、想いのかなう日がきっとやってくる。がんばって生きていくんだ。

 これは、安江の義母のヨシ子が妙子にかけた言葉です。

家出人も、残された家族も、できることは同じ。毎日を大切に生きながら、焦らずに時期が熟すのを待つ、それだけです。

 

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映画を観てから読むか、読んでから観るか

あなたは、映画の原作本は、映画を観てから読んだ方がいいと思いますか。それとも、映画を観る前に読んだ方がいいと思いますか。 

映画か原作のどちらか一方で十分という方もいらっしゃると思いますが、比較するという楽しみ方もありますよ。

 

映画『リバー・ランズ・スルー・イット(A River Runs Through It)』

 (ロバート・レッドフォード監督、クレイグ・シェイファーさん、ブラッド・ピットさん主演)

リバー・ランズ・スルー・イット [DVD]

 

原作

ノーマン・マクリーンさんの『マクリーンの川(A River Runs Through It )』 

マクリーンの川 (集英社文庫)

マクリーンの川 (集英社文庫)

 

 

ストーリー (原作と映画には、細かい設定の違いがあります)

モンタナ州の牧師一家は、自然に囲まれた暮らしを愛し、二人の息子は幼い頃から父親にフライフィッシングを習います。真面目な兄ノーマンと陽気な弟ポールの兄弟には、性格は異なりますが、フライフィッシングで結ばれた絆があります。

ノーマンは、不器用で、フライフィッシングの腕前も弟にはかないませんが、堅実に生きていきます。一方、大人になったポールは、喧嘩っ早く、賭け事におぼれます。

ノーマンは、ポールを手助けしようとしますが、ポールの生まれ持っての頑なな性格やプライドが災いして上手く行かず、そして事件を迎えます。。。

 

原作にない映画のシーン

①ボートで川下りをするシーン

青年になったノーマンとポール兄弟が、遊び仲間が荒れ狂う川の様子にしり込みする中を、二人で川下りに挑戦する話は、映画のオリジナルです。二人の性格の違い、絆の存在が伝わってくる美しいシーンです。

 

ジェシーが暗いトンネルの中に自動車を走らせるシーン

原作のノーマンは既に結婚しているので、ジェシーと知り合い結婚を決めるのは映画の中だけ。

ノーマンを自動車で送るジェシーが、立ち往生する車でふさがった道路を避けて、見通しのきかないトンネルの中に自動車を走らせる話も、原作にはありません。ジェシーの勝気な性格が分かり、また二人の将来につながる良いシーンです。

 

映画が先! 映画を観てから読むメリット

モンタナの美しい自然やフライフィッシングの情景は、大自然の中に身を置いた経験が少ない人には、文章だけでは想像しにくいものです。

先に映画で観ていると、あの神秘的な情景を思い浮かべながら、原作小説を読むことができます。

  

原作が先! 映画を観る前に読むメリット

本を先に読む最大のメリットは、先入観なしに自分の想像を自由に広げられることです。例えば、ブラッド・ピット演じる弟のポールは、輝く笑顔の持ち主ですが、 原作にポールの人相や背格好に関する記述はありません。原作の文章だけで想像したら、全く別の顔を思い浮かべるかもしれません。

次に、映画を観るときにストーリー展開を追いやすくなります。映画化されたときにカットされた場面もありますし、一瞬の映像に込められた意味を見落としてしたり、別に解釈してしまうこともあります、先に原作を読んでいると事情が分かっているので、ストーリー展開に戸惑わずに済みます。

 

映画を観てから読むか、読んでから観るか。どちらがいいかは、作品によって変わります。『リバー・ランズ・スルー・イット』の場合は、映画を先に観るのがお勧めです。

 

 

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