Book In Life 迷子の本棚

読書で心を癒しましょう。テーマにあった本や映画の紹介と、その本や映画を通じて考えたことをアレコレ書いています。本に出てくるお料理の再現にも挑戦しています。

もう一歩先への探求心、それが情熱

いま、あなたが夢中になっていることは何ですか。

夢中になれるものがない、やりたいことが分からないという人、たくさんいらっしゃると思います。かくいう私も、そのひとり。

なにかに夢中になる情熱って、どこからくるのでしょうか。

 

恩田陸さんの『チョコレートコスモス

若手実力派女優の響子。芸能一家に生まれ、幼い頃から天才ともてはやされてきましたが、役者としてやっていくことに迷いがあります。
そんな折、伝説の映画プロデューサー、芹澤泰次郎が舞台を手掛けることを知ります。芹澤の芝居に出られたら、心が決まるかもしれない。響子は、呼ばれていないオーディションに乗り込みます。

一方、無名女優の飛鳥がオーディションに招かれています。飛鳥は、芝居を始めたばかりの学生ですが、天性の演技力で見る人を驚かせます。

はたしてオーディションの行方はいかに?
芝居にかける情熱がほとばしるオーディション物語です。

チョコレートコスモス (角川文庫)

情熱の発端は好奇心

飛鳥は、彗星のように現れた大型新人。芝居に情熱を寄せる人たちが集まるオーディションの大穴とされています。けれど、意外なことに、お芝居をやりたいと考えたことはないと言います。

あそこに何かがあると思うんです

見たことないけど、何か凄いものがあそこにあって、
それを見るためには、あそこの上に立つしかない。

情熱は、きっと「好き」「楽しい」「やりたい」といった言葉にまとまる前のカタチのない、何だろう、何だろうという好奇心、好きなのか、楽しいのか、やりたいのかさえも分からないけれど、気になってしかたがない、そんな好奇心から始まっています。

情熱の探求心に終わりはない

オーディションに立ち会った劇作家は、素晴らしい演技を目の当たりして大興奮。しかし、期待を超える演技を見た後でも、さらに上を求めます。

何かがあるはずだ。ここまで来られたからには、まだ先がある

そこまで行かなければ、ここまで来た意味がない場所が。 

情熱は、簡単に満足したりはしない。この先、その先と、さらなる先を追い求める探求心があります。

情熱は後戻りを許さない 

響子は、恵まれた境遇で才能を開花させていながらも、役者として生きていく覚悟ができていません。いったい何を迷っているのでしょうか。 

まだそっち側に行ってはいけない。
そっち側に行ったら、二度と引き返せない。

 心のどこかでそういう声があった。

(中略)彼女は恐れてもいたのだった。

この面白さには果てがない
ということに薄々きづいていたからである。

情熱が芽生えるきっかけは、素朴な疑問と純粋な好奇心。
ちょっと気になるから覗いてみよう。そして、まだ先がある、もうちょっと覗いてみよう。もうちょっと、もうちょっと、という具合に絡めとられていきます。
まるで心を乗っ取られるかのようです。

情熱は後戻りさせてくれないから恐ろしい。けれど、そこまで夢中になれるものに出会えるのがうらやましい。

 

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先が見えないからこそ、となりの人の手をにぎろう。

新型コロナウィルスの感染者数が、ふたたび増え始めています。やっと自粛生活から抜け出せると思ったのに、逆戻りなのかしら。

その上、大雨や川の氾濫まで起こるなんて、これ以上耐えられない~と、日本中に不安が広がっています。

先が見えない不安を抱えている今、ご紹介したいお手紙があります。

 

となりの人の手をにぎろう。

ほしおさなえさんの『活版印刷日月堂 空色の冊子』に出てくる、保育園の園長先生が卒園していく子供たちに贈ったメッセージです。

これからどうなるのかわからない。

そんな時代を生きていかなければならない。

 

あせっちゃいけない。あきらめてもいけない。

 

たいへんなこともあるだろうけれど、
いつもとなりの人に手をさしのべよう。

 

となりの人の手をにぎろう。

どんなときでも、勇気を持って、元気に進もう。

「となりの人に手をさしのべよう」
「となりの人の手をにぎろう」というのが素晴らしい。

大変なとき、苦しいときは、自分のことだけで精一杯で、他の人に構っていられないという気になるものですが、自分ばかりをみていると視野が狭くなって、辛さばかりがつのります。いろんなことがチグハグになって、訳が分からなくなっていきます。

他の人に目を向ければ、ひとりじゃないことが分かるし、気が紛れて辛さも薄らぎます。優しい気持ちが重なった先では、いろんなことがカチリとはまって、再び人生が穏やかな流れを取り戻すような気がします。 

何よりもまずは、人とつながることが大事。

ほしおさなえさんの『活版印刷日月堂 空色の冊子』

活版印刷日月堂』シリーズは、まさにそんなストーリーです。

お父さんを亡くし、婚約者と分かれ、仕事もない。すべてを失った弓子さんが、一休みのつもりで亡き祖父母の家に帰ったところから物語が始まります。

弓子さんが、良くしてくれる知人への感謝の気持ちを伝えるために、祖父が遺した印刷機を動かしたことで、時間が流れ始めます。

そして、「活版印刷日月堂」を訪れたお客さんたちは、一歩踏み出すきっかけを見つけ、弓子さんは活版印刷の中に自分の居場所を見つけます。

『空の冊子』はシリーズの昔、弓子さんのお祖父さんが経営していた頃の話です。 

([ほ]4-5)活版印刷三日月堂 空色の冊子 (ポプラ文庫)

 

あせっちゃいけない。あきらめてもいけない。

なんとかしなくちゃと、焦ってやみくもに走ると、おかしな迷路にはまり込んでしまいます。走り出す前に、となりの人の手を握って一緒に深呼吸をしたら、少し気持ちが落ち着きます。 

どんなときでも、勇気を持って元気に進もう。

それから、顔をあげて明日に向かって進もう。から元気で十分。元気なふりをしているうちに、それが本当になるから。

明けない夜はない。止まない雨はない。きっと、道が開けると信じましょう。

 

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優雅でなければ、タバコを吸う意味はない

あなたは、タバコを吸いますか。
あなたの周りには、タバコを吸う人はいますか。 

肺炎にかかるリスクが高まっている 今、喫煙について考えてみませんか。

 

垣谷美雨さんの『優しい悪魔』

佐和子は、ニコチン依存症で悩んでいます。本気でタバコを止めたいと思っていますが、禁煙を意識すればするほど、吸わずにはいられなくなります。

ヘビー・スモーカーで禁煙チャレンジ失敗歴20年の佐和子が、禁煙を目指して奮闘する日々を描きます。 

優しい悪魔

優しい悪魔

  • 作者:垣谷 美雨
  • 発売日: 2008/06/20
  • メディア: 単行本
 

※『優しい悪魔』は『禁煙小説』に改題されています。

 

タバコは、カッコいい大人の象徴でした(過去形!)

今度こそは禁煙を成功させる!と決めた佐和子は、周囲の人たちのタバコをめぐる言動に敏感になります。

会社の飲み会で、喫煙率の高い熟年層の男が言い合います。

「僕と同年代で、十代の頃にタバコを吸ってみようかなと一度も思わなかったやつなんて、人間として面白みのないやつに決まってるさ。」

そう、かつてタバコは、カッコイイ大人の象徴で、大人になりかけの十代が背伸びをして手を出すもの。大人社会では、喫煙所は、部署や世代も異なる人たちが情報交換する貴重な社交場でした。

しかし、それは過ぎ去った栄光の日々で、今はその面影はありません。

駐車場の片隅でせわしなくタバコを吸う男たちの丸まった背中や、手持ちのタバコがないと分かった途端にパニックに陥る姿は、ちっともカッコよくありません。

佐和子は、タバコを吸わない人たちが想像以上に煙を嫌がって、吸う人を避けられていることにも気づきます。

カッコイイ大人に憧れて、タバコの世界に足を踏み入れたのに、タバコのためにカッコ悪い姿をさらしているようでは本末転倒。

今では、タバコはカッコ悪い人の象徴になってしまったのです。

 

川端裕人さんの『ニコチアナ』

日本と米国の会社が共同で、無煙シガレット「ハチェット」の販売を計画します。副流煙の心配をなくし、タバコの新たな歴史を開くはずが、記者会見がニコチンテロに襲われ、ハチェットの製法に似た技術が特許申請済みとの情報が入ります。

商品企画担当のメイは、特許申請者のロクサノ・テンマを追いかけて、タバコの神の伝説に触れます。 

ニコチアナ (角川文庫)

ニコチアナ (角川文庫)

  • 作者:川端 裕人
  • 発売日: 2008/08/25
  • メディア: 文庫
 

タバコは、時間を微分します(現在形!)

タバコ会社のCEOで愛煙家のデュークは、「シガレットには時間を微分する力がある」と言います。

シガレットは、誰もが身を粉にして働かなければならない現代社会の中で、隙間のようにできた無為の時間を画するための贈り物だった。

仕事の合間にシガレットに火をともす。それによって、人間は時間に句読点を打ち込み、生きる活力を得るのだ。

朝一番の一服、仕事の合間、セックスの後、そして大きなチャレンジに足を踏み出す時...日々の暮らしの中で、時間の流れにリズムを作り出す。凸凹のない日常に、目鼻をつける

タバコは火をつけるだけで始まり、火を消すだけで終わります。1本吸うのにかかる時間は90秒。この手軽さが、タバコの大きな魅力です。

タバコには、様式美が求めれらている(現在進行形!)

タバコは手軽であるがゆえに、タバコを吸う回数、本数を増やすのも簡単です。渇望に従った喫煙は、タバコに振り回されている状態に陥ります。

人は日常の中でシガレットを消費するための「様式」を確立せねばならない。でなければ、就寝時間以外、つねに体をニコチンに浸し込まれ、逆に時間は均質なものへと変化する。

(中略)

 時間の奴隷であることから、解放してくれるはずのものが、ふたたび人間を隷属させる

チャイムに例えるなら、決まったタイミングで鳴るなら便利だけれど、のべつまくなしに鳴っていたら、うるさいだけ。

タバコは、優雅に吸わなければなりません。

人目を気にしてコソコソしたり、ニコチン補給だけを目的にセカセカしたり、いつまでもダラダラ吸っているのは美しくありません。

往年の映画スターをイメージして、ゆったりと、つかの間の休息を味わいましょう。カッコよくなければ、体に悪いと分かっていることを続ける意味がないですから。

 

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テーマ別お勧めの本 (2020年6月)

読者の皆さま

おかげざまで3年目。ありがとうございます!

いつもブログを読んでくださって、ありがとうございます。

今月で、このブログは3年目に入りました。はてなブログから「開設して2年が経ちました」メールが届いて気づきました。続けてこれたのは、読者の皆さまのおかげです。ありがとうございます。

ちっともブログを書くことに慣れなくて、何を書こうか?何と書こうか?と迷ってばかりですが、もう少しがんばります。

 これからもよろしくお付き合いくださいませ。

 

さて、きょうは6月のテーマの振り返りです。

LGBTQ

プライド月間にちなんで、LGBTQ関連の話をご紹介しました。

LGBTQを扱うストーリーには、多様性を認めようという共通メッセージがあります。

セクシュアリティに限定しなければ、ほとんどの人が、どこかで少数派に属して悲しい思いを味わう経験をしているはず。LGBTQを嫌う社会は、個性を認めてくれないから。

あるがままを受け入れ合える社会になって欲しいですね。

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読書ブログらしいテーマ

読書で心をいやしましょう。 

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とりとめなく扱ったテーマ 

あなたが気になる内容があったら、嬉しいです。  

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おかげさまでブログ3年目です!去年と一昨年の今月のまとめ記事です。

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暑い夏にピッタリ!『ミドリのミ』の「麦茶オレ」

あなたは「麦茶」を飲むとき、何かいれますか?

こちらの記事でご紹介した『ミドリのミ』に出てくる「麦茶オレ」を作りました。

ミドリ・パパの恋人、源三が、訪ねてきたミドリ・ママに「最近おたくの娘がハマってる。コーヒー牛乳みたいでうまいんだって。やってみる?」と作ってくれる飲み物です。 

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麦茶はストレートで飲むのが常の私には、「麦茶オレ」はちょっと衝撃的。
え、麦茶と牛乳って、混ぜてよかったの?

改めて考えてみると、紅茶に牛乳を入れるミルクティーはお馴染みだし、麦茶もお茶なんですよ。そういえば、お店で「ほうじ茶ラテ」を見かけました。

たまたま自分がそうしているという生活習慣を中心に物事をとらえることを、「思い込み」というのですね。LGBTQというテーマにふさわしい飲み物です。

暑い夏の渇きは水分だけでは癒されないから、少し甘くした「麦茶オレ」がピッタリ。普段、麦茶はストレートで飲むという方に、ぜひ試してほしいです。

麦茶は、ストレートでも、オレにしても、どちらも美味しい。そのときの気分に合わせて、楽しむのがいいですね! 

 

麦茶オレ

麦茶オレ

麦茶オレ

材料:

  • 麦茶
  • 牛乳
  • シロップ

 

作り方:

  •  麦茶に牛乳とシロップを入れて混ぜます。

 

試作メモ:

  • 麦茶と牛乳は、2:1で混ぜるのがおすすめ。
    麦茶と牛乳の組み合わせに抵抗を感じると、牛乳が少なめになりがちですが、それでは、混ぜた意味がない!麦茶の味しかしません。
  • 写真の中で、麦茶オレの横に並んでいるのはハチミツです。シロップの代用にしたのですが、冷たい麦茶にハチミツは溶けにくくて苦労しました。甘味は、シロップか砂糖でつけるのが良さそうです。

 

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日本昔ばなしは、消えていく・・・の?

あなたは、年下の人と話が合わないと感じたことはありますか。

昔は想像もしなかったものが今は当たり前にあったり、あるいは逆に、当たり前だったものが、いつの間にかなくなっていたりして、育った環境がちがうから、世代間ギャップは避けられません。

 

朝井まかてさんの『雲上雲下』

草原にいる草どんは、子狐にせがまれて、仕方ないなーと寝物語を始めます。「とんと昔の、さる昔―――」はて、わしはこの話をどこで知ったのだろう。やがて、母を探して旅する子どもが現れます。あれは、言い伝えの子どもだ、何ゆえにここに見えたんじゃろう。

いったい、草どんは、何者なのでしょうか。昔から人々が語り継いできた民話の行方をめぐるファンタジーストーリー。 

雲上雲下

雲上雲下

 

 

まんが日本昔ばなし』が懐かしい

そういえば、子どもの頃に『まんが日本昔ばなし』というTVのアニメ番組を見ていたことを思い出しました。

テーマ曲が流れると、男の子が龍に乗って現れるオープニング。
♪坊や~良い子だ、ねんねしな。い~まも昔もかわりなく~♪

あれあれ、今と昔は変わっているのですよね。

子狐が、昔話の登場人物たちを代表して言います。

「おらたちの話を、もう誰も聞きたがらない、忘れられてゆくばかりなんだ。物語の舞台ももう、身近じゃない。昔ながらの山や川、湖も姿を消して、柴を刈りに入る里山もすくなくなった。長いこと人の暮らしのそばで生きてきた狐や狸、兎や猿も」 

たしかに、私が子供のときですら、「おばあさんは川へ洗濯に」は昔話の中にしかなかったし、「おじいさんが山へ柴刈りに」はまったく想像もできませんでした。

昔話は、消えていくしかないのかな

まんが日本昔ばなし』を懐かしさと寂しさが入り混じった気持ちでネット検索してみたら、1975年から1994年まで全国放送されていたことが分かりました。

放送終了の1994年は、ちょうど日本の社会環境が大きく変わった頃。バブル景気が弾けて長い不況に入りました。Windows95の発売をきっかけに、インターネットが爆発的に普及した時期でもあります。

日本昔話とインターネット、とても同じ世界のこととは考えられません。

生活スタイルが移り変わるにしたがって、物語が理解できなくなって、そして物語は消えてしまうしかないのでしょうか。

ネット検索では、全国放送終了後に特別番組が制作されたり、再放送されていたりしたことも分かりました。ちょっとほっとしました。

昔ながらの自然、里山を舞台にした日本昔ばなし(民話)は、少しずつ忘れられていくかもしれません。

でも、いまでも、現代とはまったく異なる生活様式の時代を舞台にした作品はつくられています。江戸時代や戦国時代はむろんのこと、鎌倉時代平安時代ものもあります。

だから、私たちが日本昔ばなしに懐かしさを感じている間は消えないとおもいます。

 

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フツーってなに?フツーじゃないことは、悪いことなの??

あなたは、子どもから「みんなが持っているXXが欲しい」とせがまれたら、どうしますか。「みんなが持っているなら仕方ない」と買ってあげますか。それとも「ウチはウチ、ヨソはヨソ」と言い聞かせますか。

「自分だけが違う」状況はつらいけれど、「みんなと同じ」を追いかけ続けるのも苦しいです。

きょうのテーマは、LGBTQです。

  

吉川トリコさんの『ミドリのミ』

小学生のミドリは、パパに連れられて、源三の家で暮らし始めます。

源三はパパの恋人。源三はヘンテコだけど楽しい。新しい学校には謎のルールがある。ママは人生設計が狂って動揺している。パパは周囲の人を傷つけて悩んでいる。

ミドリと、「フツー(普通)」を求められて傷ついた大人たちを描きます。 

ミドリのミ (講談社文庫)

ミドリのミ (講談社文庫)

 

フツーのヘンとフツーじゃないヘンがある

ミドリの父親・広は、家庭を持ってから、男性に恋した自分に驚き、戸惑っています。

 いまもって広は自分がゲイなのかそうでないのか、よくわからないでいる。

物の本に寄れは、同性愛者とはいってもいろんなタイプがいて、一概にこうだと言い切れるものだはないのだそうだ。

千差万別、十人十色、グラデーションになっていて 一人として同じ人間などいない。

なんだそうか、と広は思った、そんなら異性愛者と同じじゃないか、と。 

これはフツー(普通)で、これはヘン(変)と分けていくと、ヘンの中にも、フツーのヘンとフツーじゃないヘンがでてきます。そんなのヘンじゃないか!

そもそも、皆それぞれに違うねーと捉えれば、フツーとヘンに分ける必要もなくなって、 かなりたくさんの悩みが生まれなくて済むのです。

  

近藤史恵さんの『モップの精と二匹のアルマジロ

キュートな清掃ガールのキリコちゃん。清掃を担当しているビルに勤める夫の浮気調査を依頼されたことをきっかけに、ある夫婦の謎に触れ、事件に巻き込まれていきます。 

モップの精と二匹のアルマジロ (実業之日本社文庫)
 

フツーじゃない悩みは、気にするほど大きくなっていく

キリコちゃんの調査対象となったのは、モデル並みの容姿の持ち主で社内どころか、オフィスビル中の女性からモテモテ。さぞかし楽しい生活を送っているかと思いきや、フツー(普通)ではないことを悩んでいます。

悩みが大きすぎて、自分を想ってくれている奥さんや友だちの存在が目に入りません。フツーとは異なることを気にし始めると、どんどん追い詰められていく一方です。

悩みの深さ、苦しさは、当人にしか分からないことだけれど、自分らしくあることを認めてくれる人と出会えたなら、そろそろ、悩むのを止めてもいいのではないかしら。 

一緒に生きていく人と分かり合えたなら、もうそれで十分です。

 

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死後の世界は、今いるココよりも良いところなのか。

あなたは死後の世界がどんなかを考えたことがありますか。

今いるココよりも良いところなのか、それとも―――?

きょうは、死後の世界をテーマにご紹介します

 

高野和明さんの『幽霊人命救助隊』

自殺したヤクザ、会社経営者、OL、浪人生は、地上と天国の中間点に留め置かれます。神様から天国に行きたかったら、命を粗末にした埋め合わせに自殺者100人の命を救えと命じられて、幽霊となってこの世に戻り、自殺を食い止める救命活動を始めます。 

幽霊人命救助隊 (文春文庫)

幽霊人命救助隊 (文春文庫)

  • 作者:高野 和明
  • 発売日: 2007/04/10
  • メディア: 文庫
 

死んでも、この世の苦からは逃れられない

救助隊の4人は、自殺に振れていく人たちの心の暗闇をのぞくことで、自分自身の心の暗闇と向き合わされます。

自殺に振れる人たちに共感して、抱える苦悩を自殺に足る事情と考えるなら、天国に行くことはできませんし、彼らを思いとどまらせられるなら、同時に自殺に至った自身の心を救うことにつながるからです。 

つまるところ、死が苦の終わりをもたらすことはなく、この世のことはこの世でケリをつけなければ、その先に進むことはできないのです。

 

雲黒斎さんの『極楽飯店』

ヤクザの峰岸が死後に行き着いた地獄では、意外なことに快適な暮らしが待っていました。玉に瑕は、食事情ですが、町で唯一、美味しい料理を出すレストラン「極楽飯店」があることを知ります。地獄の強制労働の同じ班の仲間と共に「極楽飯店」で食事を楽しむ方法を探るうちに、宇宙の基本原理に気づくというスピリチュアル小説。 

極楽飯店

極楽飯店

  • 作者:雲 黒斎
  • 発売日: 2013/02/26
  • メディア: 単行本
 

不幸や不運は、自分が望んだものだった

宇宙の基本原理によると、「わたしたちはひとつ」で「心の底から求めたものが与えられる」。

この世で上手くいかないことがあるのは、私たちが「ひとつ」であることを忘れて、「自分」にこだわったり、恐れを抱くことで、願望の実現から遠ざかっているのだといいます。

それなら、もう死後の世界を想像したり、憧れたりするのはナンセンス。

心を開いていけば、今いるココをもっと良くすることができるのですから。

 

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家族をつなぐのは、互いへの「たしかな想い」

なんだか、急に暑くなった気がしていたのですが、いつの間にか、暦は衣替えの季節を指していて、このくらいの暑さは当然ですね。

行楽が盛んになる時期を、世界中が「自粛」という合言葉で引きこもっているものだから、季節の変化を感じられず、春先の気分が抜けていないのを実感しました。

私たちがコロナ禍で右往左往している間にも、少しずつ季節はめぐっています。

さて、6月はプライド月間。きょうは、LGBTQをテーマにご紹介します

 

小川糸さんの『にじいろガーデン』

35歳の泉と19歳の千代子は、出会ってすぐに急速に惹かれ合います。ふたりは共に、人生に絶望していました。「もっと、自分に正直に生きたい」と、日本で一番星空がきれいに見える里に移り住み、新しい人生を始めることにします。

泉、千代子、二人の子どもたちへと、各章ごとに視点を移動させながら、レズビアンカップルの泉と千代子が築いたタフで、愛情深い生活を描きます。 

にじいろガーデン (集英社文庫)

にじいろガーデン (集英社文庫)

  • 作者:小川 糸
  • 発売日: 2017/05/19
  • メディア: 文庫
 

家族をつなぐ「たしかな想い」は、育てていくもの 

泉と千代子は、レズビアンであるがゆえの悩みや苦労を抱えますが、互いに対する想いが揺らぐことはありません。

レズビアン・マザーと2人の子どもの新しい暮らしを始めた千代子は、こう語ります。 

 家族というものは、きっと最初から家族のわけではなく、
毎日毎日、笑ったり、怒ったり、泣いたりしながら、
少しずつその形が固まっていく
ものだと思う。

だから、その努力を怠ると、いくら血がつながっている家族でも、
壊れて、バラバラになってしまう。(中略)

だから、決して壊れないように、決してはぐれないように、
わたしたちは、いつもしっかりと手をつないでいた。

誰かを愛するって、どういうこと?結婚とは?家族とはなんだろう? 

私たちは、ついつい「家族なんだからー」と期待してしまうけれど、その前に必要なのは、家族をつなぐ互いへの「たしかな想い」

「たしかな想い」は手に入るまで分からないから、頭でっかちに、男と女がどうとか、血のつながりを持ち出して説明しようとします。 

そして、たしかな想いは、一度手に入れたら、ただそこにあり続けるのではなく、育てていくものなのです。

 

映画『チョコレート・ドーナツ(ANY DAY NOW)』

(トラヴィス・ファイン監督、アラン・カミングさん、ギャレット・ディラハントさん主演)

ショーダンサーのルディと弁護士のポールは、恋に落ちて付き合い始めます。そんな折、ルディは、アパートの隣室に住むダウン症の男の子と知り合います。母親は薬物依存症で、面倒をみていません。気の毒に思ったルディとポールは、男の子を引き取りますが、偏見の壁にぶつかり引き離されてしまいます。

実話に基づく感動のストーリー。かなり重いです。。

チョコレートドーナツ [DVD]

チョコレートドーナツ [DVD]

  • 発売日: 2014/12/02
  • メディア: DVD
 

家族をつなぐ「たしかな想い」は、目に見えない 

ルディとポールは、親には不適格と頭でっかちな判断をされてしまいますが、男の子のためをいちばん想っているのは、この二人であることは言うまでもありません。

どうしたら、「たしかな想い」があることを明らかにできるのでしょうか。

 

『にじいろガーデン』の中に、泉が 「ママたち(同性愛者)の役割って、なんだろうね?」と問われて、「私たちに与えられた使命は、いたわることだと思う」と答える場面があります。

うちらは、世の中のはじっこで生きているから、
そういう少数派の人たちの気持ちが理解できる。
だからその分、優しくなれるの。
いろんな弱い立場の人の気持ちが、わかるから

もっと心で物事をみれるように、心を救いとれるようになっていかれたら、もっと生きやすくなるとおもいます。

 

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今週のお題「外のことがわからない」

語り手に注目!穏やかな読書をしたいときの本選び

あなたは、何を頼りに読む本を選んでいますか。

「本」と一口に呼んでいても、さまざまなものがあるように、「本を読みたい気分」もいろいろあります。

こころも身体も静かに穏やかにリラックスしたいときに、殺人鬼に襲われる恐怖でハラハラドキドキしたり、卑劣な敵と法廷で争ったりする日々に連れ出されたのでは、ゆっくり休むこともできません。

存分に読書を楽しむには、そのときの気分にあった本を選ぶことが大事です。

いわゆる本のジャンルを手がかりに選ぶ方も多いかと思いますが、
きょうは、「語り手」に注目する方法をご紹介します。

 

森沢明夫さんの『ぷくぷく』

窓辺におかれた金魚のユキちゃん。ユキちゃんは、金魚仲間からイジメられる毎日から救い出してくれた飼主のイズミが大好き。

金魚のユキちゃんの目を通して、奥手な女の子、イズミの生活が描かれます。 

ぷくぷく

ぷくぷく

 

 

大山淳子さんの『あずかりやさん』シリーズ

目の不自由な青年が営む「あずかりやさん」。お店の暖簾や古時計、オルゴール、お店にやってくる小鳥や猫、猫についているノミが、お店にどんなものが預けられたかを語ってくれます。 

あずかりやさん 彼女の青い鳥 (ポプラ文庫)

あずかりやさん 彼女の青い鳥 (ポプラ文庫)

 

 

読者のみなさまは、もうお気づきですね。

きょう、ご紹介している本の語り手は、どちらも人間ではありません。さらに言えば、自分の意思で歩き回ることもできないモノたちばかりです。

その視界の狭さにが、ちょっとした誤解を生んで、話の展開を面白くしているのですが、実にほのぼのとしたものです。

人間以外の語り手に、謎が謎を呼ぶ、裏の裏を読むといった複雑なストーリーを担わせるのには、無理があると言い換えることもできます。

お家に居ながらにして、わくわくドキドキ、アクティブに過ごしたいなら、人間以外の語り手を避けた方がいいし、ほのぼの気分に浸りたいのなら、人間以外の語り手は間違いなし。頭の片隅にいれておいてくださいね。

  

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